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火力発電

複合サイクル発電による高効率化(Ⅰ)

燃料の液化天然ガス(LNG)は、メタンを主成分とする天然ガスをー162℃の超低温に冷却・凝縮して容積を約1/580にしたものである。石炭や石油と比べて燃焼時のCO2排出量やNOx(窒素酸化物)の排出量が少なく、SOx(硫黄酸化物)とばいじんが発生しない比較的クリーンな化石燃料である。国内のLNG焚き火力発電の導入は、ガスタービンと蒸気タービンを一軸に組み合わせたガスタービン複合サイクル(GTCC)発電方式が主流であり、ガスタービンの高温化がプラント効率向上に大きく寄与する。トランプ米政権がLNG増産に向かう中で、再びGTCCは脚光をあびるのか?
再エネ

世界で進む太陽光発電の現状(Ⅲ)

日本の太陽光発電が進むべき方向:●2016年から国内導入量が5GW(500万kW)/年に鈍化し、2024年度には3.1GWに下落。「カーボンニュートラル2050」を実現するためには、「FIT買取価格の適正化」や「促進区域の設定」など導入再加...
再エネ

世界で進む太陽光発電の現状(Ⅱ)

2023年、世界の太陽光発電の年間導入量は456GWに達した。世界的に見て太陽光発電の導入量は順調に伸びている。1位は中国で235GWと断然トツプ、2位が米国で33.9GW、3位がドイツで15GWである。一方、2012年のFIT制度開始前の日本の累積導入量は5.6 GWであったが、FIT制度により年間導入量は増加し、2014年度には9.4GWに達した。しかし、その後は導入量が減少し、2023年には3.1GWまで低下した。日本の太陽光発では明らかに鈍化傾向にある。
再エネ

世界で進む太陽光発電の現状(Ⅰ)

2024年の太陽光モジュール出荷量の国別シェアの1位は中国で全世界出荷量の83%を占めた。2位はマレーシア、3位はベトナムである。ただし、マレーシアの生産能力の約80%は中国企業が占め、残りは米国のファースト・ソーラーと韓国のハンファQセルズである。中国が世界の太陽光サプライチェーンを支配することに脅威を感じる国々は、何らかの対策を講じているが、日本の対策は見えてこない。
自動車

グリーンスチールの現状(Ⅳ)

グリーンスチールは強度や軽さなど性能は遜色ないが、製造コストが高い。日本自動車工業会によると、車1台に必要な鋼材は1.5トンで、CO2を3割削減するには3万円/台のコスト増になる。現状、自動車メーカーへの導入はゆっくと進んでいるのが実情である。
自動車

グリーンスチールの現状(Ⅲ)

日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の3社が、グリーンイノベーション(GI)基金を活用して、①「電炉法」への転換、②水素による直接還元製鉄、③「高炉法」をベースとする水素還元製鉄+CCUSを進めている。「電炉」はCO2排出量を「高炉」の約25%に抑えられるため、本格的な水素還元製鉄が立ち上がるまでの移行期期間と位置付け重視する。ただし、「電炉」だけで高級鋼需要は賄いきれないため、将来的には「高炉」+CCUS(CO2の回収・貯留・利用)により、カーボンニュートラルをめざす。
自動車

グリーンスチールの現状(Ⅱ)

欧州や中国の製鉄メーカーも「グリーンスチール化」をめざし、①「高炉法」をベースとする水素還元製鉄+CCUS、②水素による直接還元製鉄、③「電炉法」への転換への取り組みを進めている。一方、安価で豊富な水素の供給が滞る現状から、2024年にはArcelor Mittalが水素直接還元を延期し、「電炉」のみを先行すると発表するなど、動向から目を離せない。
自動車

グリーンスチールの現状(Ⅰ)

日本はカーボンニュートラルに向けた戦略として、欧州で保留となったプロセス「高炉(転炉)+CCUS(CO2の回収・貯留・有効利用)」を追求した。その結果、2013年にNEDO事業「環境調和型製鉄プロセス技術開発」で開始し、2016年にはパイロットプラントを完成した。しかし、世界のトレンドが水素還元製鉄に向っており見直しが行われ、グリーンイノベーション(GI)基金による開発が始められている。
はじめに

米国のエネルギー政策大転換(Ⅳ)

常識と非常識と脱常識常識と非常識の見極め 常識(Common sense)とは、「誰でも知っているありふれたこと」の意味であり、広辞苑によれば「良識、社会通念、一般知識」と解釈されている。この常識は人が社会において生きるための重要な知識であ...
はじめに

米国のエネルギー政策大転換(Ⅲ)

2016年にパリ協定が発効され、世界全体で地球温暖化の主な要因とされるCO2排出量を削減し、温暖化を防止する枠組みが発足し、多くの国々の科学者と民衆がこれを支持した。その後も一部の科学者がこれに異論を唱えているのも事実である。トランプ政権は異論を唱える科学者の作成した報告書を大義名分として政策を展開している。