はじめに 企業の脱炭素戦略は「理想」から「現実」へ(Ⅰ)
「パリ協定」が発効して約10年を経過した今、一部の国・地域でカーボンニュートラル政策の見直しが始まっている。2020年3月~2023年5月の新型コロナウイルス禍(パンデミック)と、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻が世界的なインフレを引き起こした。これにより脱炭素化の潮目が大きく変わった。 2025年には米国トランプ政権が「パリ協定」から離脱し、原油・天然ガスの輸出を加速すると発表し、企業も経営方針の見直しを始めている。現時点では、「カーボンニュートラルからの完全離脱」を表明する企業はなく、多くの製造業で脱炭素やCO2排出量の可視化・削減の対応は継続されている。しかし、”カーボンニュートラルの理念”による高い目標を設定した製造業では、「経済合理性」と「技術の壁」により、現実的な目標へと見直す動きが始まっている。 特に、自動車、航空機、化学、鉄鋼などの製造業では、極端な100%脱炭素シナリオの見直しが本格化している。