地熱発電

再エネ

伸び悩む地熱発電の現状(Ⅷ)

短期的には、小中規模バイナリーサイクルを地産地消の分散電源として拡大させる必要がある。しかし、既設の大規模地熱発電所については、経年的な発電効率の低下対策と老朽更新など「リパワリング」の推進が緊急の課題である。中期的には、大規模地熱発電所の新設を加速するために、経験豊富でファンドのしっかりした大手電力会社などを巻き込む動きが必要である。長期的には、強化地熱発電(EGS)の導入に向け、継続的な政府の推進・支援が必須である。
再エネ

伸び悩む地熱発電の現状(Ⅶ)

EGSは魅力的な発電システムであるが技術課題も多い。大深度のボーリング技術、高圧水による高温岩体への割れ目の導入、地中での水漏れ対策など実用化に向けて技術的なハードルは高い。実際に多くの問題に直面しているが、海外では長期的視野に立ち開発を継続している。
再エネ

伸び悩む地熱発電の現状(Ⅵ)

1980 年代には日本企業の世界シェアが90%であったが、2010年には日本企業のシェアが69%(三菱重工業:25%、東芝:24%、富士電機が20%)に減少し、オーマットのシェアは10%であった。現在、フラッシュサイクルに強い日本メーカーが世界シェアの6割強を占め、商機が拡大していると報じられた。確かに、東芝(シェア:24%)、三菱重工業(22%)、富士電機(20%)と高いシェアを有しているが、バイナリーサイクル専業のイスラエル系米国企業OEMAT(オーマット)のシェアが14%に上がっている。
再エネ

伸び悩む地熱発電の現状(Ⅴ)

1973年と1979年に起きた石油ショックを契機に、日本では石油代替エネルギーの開発が国家プロジェクトとして進められた。地熱発電もその一環で開発が推進されたが、ほかの再生可能エネルギーとは異なり、政府からの開発支援が1997年で途切れた。その結果、1997年に地熱発電の発電電力量はピークを示すが、その後の凋落ぶりは顕著である。地熱発電所の新設はわずかにとどまり、既設の地熱発電所の廃止・中止更新が続く。
再エネ

伸び悩む地熱発電の現状(Ⅳ)

タービン方式による地熱発電システムの現在の主流はオープンサイクルであり、生産井せいさんせいから得られる蒸気でタービンを回して発電し、仕事を終えた蒸気を復水器で水に戻し、還元井かんげんせいを通じて地中に戻す。一方、地上で加圧した水を地中に注入し、地中熱で加熱した後に、地上に戻して減圧することで蒸気化し、タービンで発電を行うクローズドサイクルが、次世代地熱発電の実証試験段階にある。
再エネ

伸び悩む地熱発電の現状(Ⅲ)

世界の地熱資源量ベスト10をみると、世界最大規模の地熱地帯であるカリフォルニア州ザ・ガイザース地熱地帯を有する米国が地熱資源量3000万kWで第一位である。多くの火山島からなるインドネシアが2800万kWで第二位、日本は2300万kWで第三位である。この3カ国の地熱資源量が飛び抜けて多い。
再エネ

伸び悩む地熱発電の現状(Ⅱ)

地熱発電は、1997年4月に政府による開発支援が停止した。これにより、大規模地熱発電所の開発が停止して、技術開発の停滞が生じた。その後、2011年3月の東日本大震災以降、ベース電源として地熱発電への期待が高まり、2012年7月に固定価格買取制度(FIT)が施行され地熱発電が盛り込まれると、地熱発電関連の研究開発予算が復活した。
再エネ

伸び悩む地熱発電の現状(Ⅰ)

現在稼働している日本の地熱発電所の総出力は約51万kWである。その約10%にあたる東北電力の葛根田地熱発電所1号機(出力:5万kW)の廃止は痛い。また、九州電力の大岳地熱発電所などの廃止・休止後は、新規更新でFIP/FITによる地熱発電所として再開する方向であるが、出力増加には至っていない。
再エネ

再生可能エネルギーの未来予測(Ⅳ)

政府は2030年までに総出力:150万kWの目標を掲げるが、中小規模のバイナリー・サイクル地熱発電所を地産地消の分散電源として拡大させることが必要である。既設の大規模地熱発電所は、経年的な発電効率の低下対策と、老朽化更新によるリパワリングの推進が喫緊の課題である。
再エネ

伸び悩む国内の地熱開発(Ⅱ)

地熱発電は稼働までに探査・掘削・設置、環境アセスメントなどに10年以上(平均14年)を要する。太陽光発電の1年、バイオマス発電の5年、風力発電の8年に比べて明らかに長期間である。そのため、長期的展望が不可欠である。一方、短期的には小中規模のバイナリー・サイクル地熱発電所は地産地消の分散電源としての拡大が必要であるが、既設の大規模地熱発電所について経年的な発電効率の低下対策と老朽更新など「リパワリングの推進」が緊急の課題である。