高温ガス炉

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日本の高温ガス炉の開発現状(Ⅲ)

現在、高温ガス炉(HTGR)の発電所としての実績は、中国が2023年12月に実証炉を商業運転に移行しているのみである。米国は2028年を目指して小型モジュール炉として実証炉の建設を進めている。日本の実験炉(HTTR)は、2010年に950 ℃で50日間の連続運転による熱供給以降に目立った成果は見られない。実証炉の開発には数兆円規模の投資が必要である。日本は実験炉(HTTR)の研究成果を基に、英国・ポーランドに協力して実証炉建設のノウハウを吸収し、2029年から実証炉の製作・建設を開始する計画で、2030年代後半の実証炉の運転開始を目指している。
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日本の高温ガス炉の開発現状(Ⅱ)

国内では、茨城県大洗町に日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構、JAEA)の高温工学試験研究炉(HTTR)が建設され、1998年11月に初臨界を達成した。2004年4月には、原子炉出口冷却材温度:950℃での全出力(熱出力:3万kW)運転に成功した。高温ガス炉(HTTR)からの高温熱供給を生かし、三菱重工業はガスタービン発電と新たに水素製造施設の接続を開始している。また、東芝は、蒸気タービン発電と蓄熱システムを組み合わせた電力供給、高温水蒸気電解プラントによる水素製造の概念を公表している。
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日本の高温ガス炉の開発現状(Ⅰ)

次世代炉として注目される高温ガス炉は、中性子減速材に黒鉛、原子炉冷却材に高温ヘリウムガス(He)を使う熱中性子炉である。ウラン燃料を黒鉛などで被覆するため、燃料温度が高くなると自然に中性子を吸収して核反応が減衰する。また、化学的に安定なHeガスを使うため、水素爆発や水蒸気爆発の危険性が無い。原子炉出口のHeガス温度が700〜950℃と高く、直接にガスタービンに導いて発電できるほか、熱の多用途展開(熱化学法水素製造、高温熱供給による原子力製鉄、地域暖房、海水淡水化)が可能とされている。中でも、水素社会の実現に向けて、水を原料としたカーボンフリーの高効率水素製造が注目を集めている。
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次世代原子力(新型炉)の開発現状(Ⅸ)

日本のエネルギー自給率は2020年度に11.3%で、他のOECD(経済協力開発機構)諸国と比べても明らかに低水準である。東日本大震災前の2010年度は20.2%であり、原子力発電所の停止により大幅に下落した。脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーと原子力発電所の増設は不可欠である。
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次世代原子力(新型炉)の開発現状(Ⅷ)

韓国は、新型炉を含むSMR市場を主導するため「SMRアライアンス」を発足させ、サプライチェーン構築や関係事業への参加を推進している。 日本は、小型軽水炉について2030年代から国内で実証炉の製造・建設を始め、2040年代に運転を開始する目標を掲げている。また、新型炉(高速炉、高温ガス炉、核融合)についても、実証炉の製造・建設・運転について、おおよその目標を示した。
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次世代原子力(新型炉)の開発現状(Ⅶ)

フランスはCOP26において大型軽水炉(EPR)の建設再開を宣言し、原子力依存を電力供給の5割まで引き下げる方針(現在はおよそ7割)を事実上撤回した。  ロシア国営原子力企業ロスアトムは、MOX燃料を使い高速実証炉「BN-800」の営業運転を実施しており、鉛冷却高速炉のパイロット実証炉「BREST-300」の建設を開始した。中国では高温ガス炉「HTR-PM」が168時間の連続運転に成功し、世界初となる商業運転に移行した。また、 プール型ナトリウム冷却高速原型炉「CFR600」(電気出力:60万kW)の建設が最終段階に入っている。
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次世代原子力(新型炉)の開発現状(Ⅵ)

カナダは北部遠隔地域でのエネルギー源として小型軽水炉(SMR)と新型炉に注目しており、カナダ原子力研究所、3州(オンタリオ州・ニュー・ブランズウィック州・サスカチュワン州)への導入を推進している。  英国では、Rolls-Royce(ロールス・ロイス)が主導する企業連合が、小型軽水炉「UK-SMR」の開発を推進している。一方で、政府は先進モジュール炉(AMR)の開発に向け、TokamakEnergyの核融合炉、Westinghouse Electric Company UKの鉛冷却高速炉開発、U-Battery Developmentsの高温ガス炉を選定した。
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次世代原子力(新型炉)の開発現状(Ⅴ)

塩化物溶融塩高速炉はテラパワーとサザン・カンパニーの「MCRE」がアイダホ国立研究所内、液体金属高速炉はオクロの「Aurora」がオハイオ州南部、また、フッ化物塩冷却高温炉はケイロスパワーの「KP-FHR」がテネシー州オークリッジの東部テネシー技術パークでの設置に向け開発を加速している。
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次世代原子力(新型炉)の開発現状(Ⅳ)

マイクロ炉に関してはウルトラ・セーフ・ニュークリアの小型高温ガス炉「MMR」がカナダでの初号基設置に向け、BWXテクノロジーズの超小型高温ガス炉「BANR」は米国防総省(DOD)「プロジェクトPele」でアイダホ国立研究所内設置に向けて開発が加速されている。また、テラパワーとGE日立・ニュクリアエナジーは、商業用発電・エネルギー貯蔵システム「Natrium」の開発を日米協力により着実に進めている。
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次世代原子力(新型炉)の開発現状(Ⅲ)

2020年前後から、米国では原子炉開発に多くの予算が投じられ、少なくとも7基が2020年代末の運転開始をめざして開発を加速している。実績のある小軽水炉(SMR)から、各種の新型炉に至るまで、いずれも大手原子炉メーカーやスタートアップによる民間企業中心の開発である。