材料加工

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航空機ジェットエンジン材料(Ⅷ)

2000年代に入るまで、セラミックス基複合材料(CMC)の開発は日本が世界をリードしてきた。なぜなら、SiC繊維の開発・供給メーカーは日本カーボンとUBE(元宇部興産)の2社のみであった。しかし、2000年代に入り、政府からの開発支援が先細る中で、IHIと日本カーボンを除く多く国内企業がCMC開発から撤退した。しかし、米国ではGEが粛々とCMC開発を継続していた。
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航空機ジェットエンジン材料(Ⅶ)

限界が見えてきた耐熱超合金に替えて、セラミックス基複合材料(CMC)の適用が航空機エンジンメーカーを中心に進められ、耐環境コーティングと共に、今後の重要な開発課題と位置付けられている。航空機ジェットエンジンへのCMC適用で、世界の先頭を走るのは米国GE(現GEエアロスペース)である。一方で、米国のP&W、英国のRRは共にCMCメーカーを買収するなどして、キャッチアップを加速している。
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航空機ジェットエンジン材料(Ⅵ)

高バイパス比化と並ぶ燃費低減方法は、タービンの高圧力比化と高温化による熱効率向上である。しかし、従来のNi基超合金を使用する限り冷却は不可欠で、冷却空気量の増加で燃費低減効果が失われる。そこで、2016年に就航したエアバス「A320neo」に搭載された「LEAP-1A」エンジンには、セラミックス基複合材料(CMC:Ceramic Matrix Composites)が、民間航空機エンジンの高温静止部品に初適用された。
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航空機ジェットエンジン材料(Ⅴ)

航空機ジェットエンジンの高性能化を実現するには、高バイパス比化と並び高圧力比化・高温化による熱効率向上が鍵となる。すなわち、燃焼器やタービン動静翼など高温部品の耐熱性の向上である。そのため高温強度に優れた「耐熱合金」の開発が進められ、高温の燃焼ガス雰囲気に耐えられるよう「耐食・耐酸化コーティング」、さらなる高温化を実現するために「セラミック遮熱コーティング」の開発が進められた。
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航空機ジェットエンジン材料(Ⅳ)

近年、燃料費の高騰と温室効果ガス(CO2)削減の要請を受け、民間航空機エンジンに対する低燃費化の要求が厳しい。そのため民間航空機に用いられるターボファンエンジンについては、燃費改善の主な手段として高バイパス比化による推進効率向上と圧縮機での高圧力比化による熱効率向上が進められてきた。
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航空機ジェットエンジン材料(Ⅲ)

民間航空機エンジンでは、大型化するファン構造の軽量化が高分子マトリックス複合材料(PMC:Polymer Matrix Composite)の適用により進められた。安価なガラス繊維強化プラスチック(GFRP)や高強度の炭素繊維強化プラスチック(GFRP)など、用いる強化繊維により様々な特性が発現される。中でも、CFRPは軽量(比重:約2.0)、高強度、高剛性であり、航空機の機体に始まり、ターボファンエンジンのファン部品への適用が進められた。
航空機

航空機ジェットエンジン材料(Ⅱ)

現在、商用機の航空機エンジンの主流はターボファン・エンジンと呼ばれ、圧縮機の前にファンを設置してエンジン外側を迂回させて流す空気と、エンジン内側で燃焼させてから排出する空気に使い分けている。ファンのみを通過する空気流入量とエンジンで使用する空気流入量の比率はバイパス比と呼ばれ、ボーイング787機のエンジンではバイパス比が9程度と高く、燃費効率に優れている。
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航空機ジェットエンジン材料(Ⅰ)

2021年10月に国際航空運送協会(IATA)、2022年10月に国際民間航空機関(ICAO)で、「2050年カーボンニュートラル達成」の国際的な目標が合意された。日本も国際航空分野において2050年までにカーボンニュートラルを達成することを公式に宣言しており、航空分野におけるCO2削減の動きが活発化している。この目標達成には、「SAFの活用」、「新技術の導入」、「運航方式の改善」を組み合わせる必要が示唆されているが、鍵を握る航空機ジェットエンジンの開発現状について、構造材料の切り口から観てみよう。
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最近の自動車用構造材料の変革(Ⅱ)

自動車のボディー骨格を造る際に排出されるCO2をいかに減らすか──。素材~骨格部品の製造工程まで「脱炭素」観点からの変革が進められている。今後、高張力鋼板(グリーンスチール)の冷間プレス材が主体となる方向が見えてきた。一方、米国テスラが「モデルY」のリアボディー部品への採用を公表したことから、アルミニウム合金で一体成型するギガプレスが注目を集めている。今後、溶接組み立てから溶湯加圧成型による低コスト化がEVトレンドとなる可能性が出てきた。
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最近の自動車用構造材料の変革(Ⅰ)

鉄鋼業界は国内産業界で最も多くのCO2を排出しており、遅ればせながら脱炭素化に向け「グリーンスチール」の商品化を加速している。中でも、神戸製鋼は低CO2高炉鋼材”Kobenable Steel”を他社に先駆けて商品化し、低炭素Al合金板材も含めて日産自動車に供給を開始した。2023年春を目指して新型EVの「セレナe-POWER」、「アリア」や、中型SUVの新型「エクストレイル」などへの適用が進められている。