次世代火力

火力発電

CO2回収貯留とその有効利用(Ⅲ)

三菱重工業を筆頭にCCS設備の技術開発で先行した日本であるが、火力発電所などへのCCS設備の導入に関しては一部の実証試験に留まっているのが現状である。一方、火力発電所にCCS設備を付帯した場合のコスト試算が行われ、石炭火力発電所ではCCS設備の後付けで発電コストは1.55~1.9倍、LNGコンバインドサイクル発電所ではCCS設備の後付けで発電コストは1.44~1.55倍と、高コスト化が明らかにされている。
火力発電

CO2回収貯留とその有効利用(Ⅱ)

国内でのCO2回収・貯留技術(CCS)の開発は、1990年の三菱重工業・関西電力による発電所のボイラ排ガスからのCO2回収に始まる。火力発電所に設置されるCCSには、ボイラ排ガスからCO2を回収する燃焼後(ポストコンバッション)方式と、燃焼前の燃料からCO2を回収する燃焼前(プレコンバッション)方式がある。 現在の主流はポストコンバッション方式で、既設の火力発電所にCCS設備が付帯され実証試験が進められている。
火力発電

何故、日本は石炭火力で批判されるのか?(Ⅱ)

NGO/NPO団体の気候ネットワークは、「次世代石炭火力発電(IGCC)が、今後 10 年で石炭火力発電の国際的な成長の主要な役割を果たすことはないだろう」と報告している。また、英国のシンクタンクのTransitionZeroは、日本が推進するアンモニア混焼や石炭ベースの石炭ガス化複合発電(IGCC)によるCO2排出量の削減効果は寡少であり、再生可能エネルギー発電よりも高コストのため、脱炭素化の解決策としては適切でないと報告している。
火力発電

何故、日本は石炭火力で批判されるのか?(Ⅰ)

日本が石炭火力発電で批判されるのは、欧州を中心に先進諸国が石炭火力発電の抑制・廃止する中で、依然として石炭火力発電を推進し、発展途上国での建設支援を続けているためである。高効率石炭火力発電でも、高効率LNG火力発電(GTCC)の約2倍の温室効果ガスを排出することから、国際的な脱炭素化トレンドに逆行する。日本政府は2050年カーボンニュートラル実現を宣言しているが、石炭火力発電の抑制・廃止には後ろ向きである
火力発電

次世代火力発電システムとは?(Ⅳ)

アンモニア(NH3)は液化水素の 1.5 倍の体積水素密度を有し、国内では直接燃料として使用することが検討され、IHIと三菱重工業により有害な窒素酸化物(NOx)を出さない燃焼法が開発されている。一方、欧米は水素キャリア(運搬媒体)としてのアンモニア利用に着目しており、将来的にアンモニア燃料による発電を電源構成に盛り込んでいる先進国は、日本と韓国の2カ国にとどまる。
火力発電

次世代火力発電システムとは?(Ⅲ)

水素社会のエネルギーインフラを支える水素発電システムは、分散電源向けの家庭用・業務用の燃料電池発電システム、中小型水素ガスタービン、大規模発電所向けの大型水素ガスタービン、水素ガスエンジンの開発が進められている。主に家庭用は固体高分子型燃料電池(PEFC)、業務用が固体酸化物型燃料電池(SOFC)が商品化された。主に家庭用は固体高分子型燃料電池(PEFC)、業務用が固体酸化物型燃料電池(SOFC)が商品化されている。水素ガスタービンは、川崎重工業が中小型水素ガスタービンで2020年に水素専焼の実証試験中であり、三菱重工業は大型水素専焼ガスタービンの2045年市場投入を目指して開発中である。
火力発電

次世代火力発電システムとは?(Ⅱ)

先進超々臨界圧火力発電(A-USC)、炭ガス化コンバインドサイクル発電(IGCC)、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)はいずれも石炭火力発電システムであり、今後の実用化にはCO2回収・貯留(CCS)装置の付帯が必須である。しかし、世界的に脱石炭火力発電所がメガトレンドとなっている現状において、長期間、膨大な費用をかけて開発されてきた次世代石炭火力発電の実用化は困難である。
火力発電

次世代火力発電システムとは?(Ⅰ)

高効率発電と低炭素化を目指し、経済産業省プロジェクトとして先進超々臨界圧火力発電(A-USC)、1700℃級の高温ガスタービン、石炭ガス化コンバインドサイクル発電(IGCC)、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)、ガスタービン燃料電池複合発電(GTFC)が進められた。しかし、世界的に脱石炭火力発電所がメガトレンドとなっている現状において、次世代石炭火力発電の開発構想は、見直すべき時期である。