航空機

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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅲ)

 航空機用の代替燃料の開発の歴史は古く、化石燃料由来、動植物由来が代表的であるが、直近では、水(水蒸気)、合成燃料の開発が進められている。持続可能な航空燃料(SAF)は化石燃料以外の原料、すなわち、動植物由来、水(水蒸気)、合成燃料が該当する。その中でも、SAFは「CORSIA適格燃料(CEF)」として登録・認証を得る必要があり、その品質は米国試験材料協会規格「ASTM D7566」に規定されている燃料に限定される。
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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅱ)

世界経済フォーラム内の「クリーン・スカイズ・フォー・トゥモロー・コアリション」は、世界の航空業界で使用する燃料におけるSAFの割合を、2030年までに10%に増加させることを宣言した。このような民間でのSAF導入拡大の動きと並行して、欧州、米国、英国などは政府レベルでのSAF導入拡大の目標設定や、支援制度の整備などを進めている。
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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅰ)

石油元売り大手のコスモ石油、ENEOS、出光興産が、持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)の量産化に踏み出したことが報道された。一方で、海外航空会社が日本への新規就航や増便を希望しても、日本で通常の航空燃料が調達できず諦める例が増えているとの報道もある。
はじめに

航空機開発の失敗と成功(Ⅳ)

今後、空飛ぶクルマなどの次世代航空機の開発は避けて通れない。「HondaJet」の開発は、これらを成功に導くための興味深い事例といえる。航空機業界では機体メーカーとエンジンメーカーは、それぞれ別個に存在しているが、本田技研工業は両方を独自に開発した。時間を要したが、航空機の全体像を把握するためには必要なプロセスであった。全体像が分かれば、ショートカットが可能である。次の一手が待ち遠しい。
はじめに

航空機開発の失敗と成功(Ⅲ)

「HondaJet」は、主翼上面に独自に開発したエンジンを取り付けて、従来は胴体内部に必要であったエンジン支持構造が不要となり、胴体内のスペースが30%以上も拡大し、客室内の騒音や振動が軽減された。また、機体には軽量化のために炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を採用している。
はじめに

航空機開発の失敗と成功(Ⅱ)

当初、2011年に初飛行、2013年に最初の顧客となる全日本空輸へ機体納入の予定であった。しかし、2009年9月に型式証明(TC)取得に絡む設計変更を理由に納入延期、2015年11月に実験機での初飛行に成功するが、設計変更、検査態勢の不備、試験機の完成遅れが相次ぎ、合計6度の納期延期を繰り返した結果、2023年2月にMSJの開発中止に至った。
はじめに

航空機開発の失敗と成功(Ⅰ)

近年、航空機開発においては、「三菱スペースジェットの失敗」と「ホンダジェットの成功」は大きな注目を浴びた。対象がリージョナルジェット機と小型ビジネスジェット機で単純比較は難しい。しかし、戦闘機やヘリコプターを製造し、航空機部品の一次サプライヤーでもある重工メーカーが失敗し、航空機とは無縁の自動車メーカーが成功したのである
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航空機の未来予測

抜本的なゼロエミッション航空機の実現に向け、現行蓄電池性能の観点から、小型機(レシプロエンジン機)はピュアーエレクトリック航空機(電動航空機)に向かい、主力となる中大型機はハイブリッド機を経て、最終的に燃料電池航空機あるいは水素タービン航空機を実現する必要がある。
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国際線でのSAF導入の義務化

2022年12月、国土交通省から航空分野の脱炭素化の基本方針が出され、SAFに関しては2025年の国産開始、2030年までに国内航空会社の燃料使用量の10%を置き換える目標が設定された。2023年5月、経済産業省は、2030年から日本の空港で国際線に給油する燃料の10%をSAFにすることを石油元売りに義務付けると発表した。国際線を発着する日本の航空会社にもSAFを10%利用すると、国土交通省に提出する脱炭素事業計画に明記するよう求める。
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加速する国内でのSAF製造

国内ではIHI、ユーグレナに次いで、新たに本田技研工業がSAF製造に手を上げた。バイオエタノールの製造を進める日本製紙、王子HDも、SAFの商用生産を目指している。一方で、石油元売り各社は各地域の需要を見極め、どの製油所でどのような燃料を製造するかの検討を進めている。コンビナートや電力会社が多い地域はアンモニア需要が高く、鉄鋼会社が多い地域は水素需要が高い。もちろん、空港近辺ではSAF需要が高くなる。