エネルギー

はじめに

クリーン水素はイラン戦争でどうなる(Ⅳ)

現在、世界的にみて「グリーン水素」をけん引しているのは中国である。実質的には「グレー水素」を使っているが、水素社会実現をめざした再エネの増設や水電解装置などの布石を着々と打っている。中国による水素シェア拡大を恐れた欧州は、2026年2月に大手電解装置メーカーがグリーン水素生産の拡大に向け新連合を結成した。太陽光パネル、蓄電池・EVでの失敗を繰り返さないために。
はじめに

クリーン水素はイラン戦争でどうなる(Ⅲ)

国際エネルギー機関(IEA)の試算では、天然ガスから製造するグレー水素のコストは0.5~1.7ドル/kg、ブルー水素のコストは1~2ドル/kg、グリーン水素のコストは3~8ドル/kgと報告している。今後の技術の進歩により、再エネ由来のグリーン水素のコストは確実に下がる傾向を示す。一方で、天然ガスから製造するグレー水素とCCS技術のプラスにより割高となるブルー水素のコストは、いずれも天然ガス価格の変動の影響を受ける。長期的にみればグリーン水素を地道に追及することが必要である。
はじめに

クリーン水素はイラン戦争でどうなる(Ⅱ)

一般に、化石燃料由来の水素やアンモニアは製造時にCO2を排出するため、政府は将来的にCCSなどでCO2排出量の実質ゼロを確約するなどの条件下で、「ブルー水素」への支援を進めている。短期的にみれば「ブルー水素」の逃げ道を作ったことで、カーボンニュートラルの実現は先延ばしとなる。イラン戦争による天然ガス価格の高騰は「グレー水素」の高騰に直結し、CCSプロセス分が加算される「ブルー水素」は「グリーン水素」よりも高価格となる可能性が見えた。このイラン戦争を一過性の問題とせずに、水素サプライチェーン全体を見て安定供給可能な水素戦略が必要である。
はじめに

クリーン水素はイラン戦争でどうなる(Ⅰ)

世界の水素需要の約3割を占める中国は、強力な政府方針によりFCトラック・FCバスの販売台数が急増し、グリーン水素の大規模製造プロジェクトも稼働を開始しており、世界をけん引している。水素ブームが若干トーンダウンの欧州であるが、グリーン水素製造の長期的な政策支援は着実に進められ、2026年2月、大手電解装置メーカーがグリーン水素生産の拡大に向け新連合を結成した。一方、トランプ政権下の米国は水素ハブへの資金拠出が一時停止されグリーン水素製造は失速。IRA(インフレ抑制法)改正案の成立でCCS等の税額控除が継続され、ブルー水素へと移行している。
原子力

原子炉用核燃料の開発現状(Ⅲ)

日本は使用済み燃料は再処理してウランとプルトニウムを回収し、軽水炉で再利用する燃料サイクルの構築を推進している。現在、青森県六ヶ所村で日本原燃が、使用済燃料の再処理と、MOX燃料の製造工場を建設中。1993年に着工したが、ガラス固化技術の開発などや、原子力規制委員会の審査基準(自然災害・テロ対策)への対応により、27回以上の延期を繰り返している。
原子力

原子炉用核燃料の開発現状(Ⅱ)

米国は海外企業の濃縮サービスに多くを依存し、現時点で米国内で稼働する商業用ウラン濃縮施設はニューメキシコ州ユーニスのウレンコUSAの工場のみである。2028年以降、米国ではロシアからの低濃縮ウランの輸入を原則禁止する方向で、核燃料製造が喫緊の課題となっている。
原子力

原子炉用核燃料の開発現状(Ⅰ)

ロシアのウクライナ侵攻に端を発して、欧米各国はエネルギー安全保障の観点から原発向けの低濃縮ウラン(LEU)燃料の脱ロシア化を進めている。また、非軽水炉型の新型炉の多くでは従来の軽水炉用よりウラン濃縮度の高い「HALEU燃料」の使用が検討されているが、HALEU燃料でも脱ロシア化が始まっている。
原子力

間違った小型モジュール炉への期待(Ⅸ)

世界的にみて、SMRの開発で先行しているのは米国ニュースケール・パワーの「VOYGR」とGEベルノバ日立ニュークリアエナジーの「BWRX-300」である。一応、国内原発メーカーである三菱重工業も「多目的軽水小型炉」の開発を進めている。一方で、英国もSMRビジネスを推進しているが、米国とのアライアンスは日本にも大いに参考になる。
原子力

間違った小型モジュール炉への期待(Ⅷ)

中国では、中国広核集団有限公司(CGN)の開発した小型原子炉「ACPR50S」(PWR、熱出力:20万kW)を搭載する海上浮揚式原子力発電所と、中国核工業集団公司(CNNC)が海南省昌江原子力発電所内のPWR型SMR「玲龍一号(ACP100)」(電気出力:12.5万kW)の開発が進められている。現在開発中の「玲龍一号(ACP100)」は、2026年上半期の商用運転をめざしている。
原子力

間違った小型モジュール炉への期待(Ⅶ)

ロシアは2019年12月、小型PWR「KLT-40S」(電気出力:3.5万kW)2基を搭載した世界初の海上浮揚式原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ号」を開発。2020年10月には一体型PWR「RITM-200」(電気出力:5.5万kW)2基を搭載した最新式原子力砕氷船「アルクティカ」を開発した。SMRで欧米に先行するロシアは、アジア・アフリカ・中南米などグローバルサウス(新興・途上国)への原発輸出を加速し、2027年1月から始まる欧州連合のロシア産LNGの輸入全面禁止に対抗する。