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都市ガスの合成メタンへの切り換え(Ⅲ)

既に、水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を原料とし、触媒(Ni、Ruなど)を用い、500℃程度で熱化学反応でメタンを合成するサバティエ反応メタネーションが開発され実用化されている。再生可能エネルギーの電力を使いメタンを合成するサバティエ反応メタネーションの変換効率は55~60%である。最近は、水(H2O)とCO2を原料とし、電気化学反応により80℃程度のPEM型メタネーションで変換効率70%超、800℃程度のSOEC型メタネーションにより変換効率85~90%をめざす開発などが行われている。
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都市ガスの合成メタンへの切り換え(Ⅱ)

都市ガスの原料を「石炭➡石油➡天然ガス」と転換させた主原因は、都市ガスの需要増と環境負荷の低減である。しかし、2010年以降には、都市ガスの販売量は微増で推移している。一方、環境負荷の低減に関してはCO2排出量のゼロ化が、「2050年カーボンニュートラル」の宣言により急務となっている。
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都市ガスの合成メタンへの切り換え(Ⅰ)

過去を振り返ると、都市ガスの原料を「石炭➡石油➡天然ガス」と転換させてきた主原因は、都市ガスの需要増と環境負荷の低減にある。パリ協定の採択以降、地球規模での環境負荷低減が声高に叫ばれ、我が国も「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、現在は「天然ガス➡合成ガス」への転換が進められようとしている。2050年には天然ガス並みのコスト低減をめざすとしているが、大丈夫か?
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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅹ)

SAFを含むバイオジェット燃料の普及拡大の課題は、「原料の調達」と「製造コストの低減」である。原料に関しては、農業残さ(糖質系、でんぷん系、油脂系)、林業残さ、非食用植物なども検討されているが、いずれも需要に対する供給量の拡大が難しい。今後、SAFの量産化が始まると「製造コストの低減」が、一層進むと考えられる。大手石油元売り会社の目標は100円代/ℓとしているが、極めて難しい状況にある。
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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅸ)

現在、世界的には、廃食油を原料としたHEFA技術によるSAF製造を中心に業界は動いている。しかし、将来的には廃食油だけでは需要に対応できないとして、二番手は第一世代と第二世代のバイオエタノールを原料としたATJ技術によるSAF製造が動いている。国内では、第二世代のバイオ燃料である非食用植物の油脂や糖類に注目が集まり、製紙会社などが新規参入を模索している。第三世代のバイオ燃料である藻類(ミドリムシ、ボトリオコッカスなど)は基礎検討が継続されている。
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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅷ)

政府のSAF使用に関する基本方針に従い、石油元売り大手(コスモ石油、出光興産、ENEOS、富士石油、太陽石油)とプラントメーカーの日揮HDが、「SAF製造能力の構築」と「原料サプライチェーンの確保」にむけて動き始めた。いずれも、SAF製造技術を有するメーカーからの技術導入による生産設備の立ち上げである。
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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅶ)

政府は、2030年時点のSAF使用量として、「ジェット燃料の使用量の10%をSAFに置き換える」との目標を設定し、国内でのSAF需要は、2030年に2025年比で約6倍の172万㎘(海外航空会社向け:84万㎘、国内航空会社向け:88万㎘)に急拡大すると想定した。2022年12月、ようやくSAF導入の基本方針が正式に決定され、持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進、飛行ルートの効率化、空港施設の省エネと再生可能エネルギー導入などが盛り込まれた。
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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅵ)

 国内では伊藤忠商事が、フィンランドのネステがHEFA-SPK技術で生産するSAFの日本市場向け独占販売契約を締結し、SAFの輸入・品質管理から空港搬入までの国内サプライチェーンを構築して業界をリード。対抗する三井物産は、米国ランザテック(LanzaTech)・ランザジェット(LanzaJet)と2020年に資本提携し、ATJ(Alcohol to Jet)技術による国内でのSAF生産実現をめざしている。
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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅴ)

現在、フィンランドのNeste(ネステ)は、世界のSAF生産のトップを走る存在である。一方で、米国では複数のスタートアップ企業が徐々にSAF生産設備を稼働しており、生産能力のアップを図っている。また、ハブ空港を抱えて市場拡大が予想される東南アジアは、SAF生産拠点として適しており、原料である廃食油などの調達も期待できるため、各社の投資が始まっている。
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量産化に一歩踏み出した航空燃料「SAF」(Ⅳ)

2010年代に入ると、各種バイオジェット燃料が「ASTM D-7566」規格の認証を受けた。これにより従来のジェット燃料の規格「ASTM D-1655」の要件を満たすものと見なされ、代替燃料として民間航空機で使用可能となる。SAFの最大の利点は、エンジンや機体の改変を要しない「Drop-in Fuel」 として使用できる点にある。