2024年度のエネルギー需給実績

 2025年12月、経済産業省は2024年度のエネルギー需給実績(速報)を公表した。2024年度の最終エネルギー消費は11,313PJで前年度比1.7%減少し、若干の凸凹でこぼこはあるが2005年度をピークとして年々減少している
 一次エネルギー供給は17,361PJで、前年度比で1.1%減少した。内訳はシェア80.1%の化石燃料が13.903PJで1.9%減少し、残りの原子力を含むシェア19.9%の非化石燃料が3.458PJで2.2%増加した。 
 その結果、エネルギー由来のCO2排出量は、前年度比1.4%減少し、2013年度比で26.5%減少となる9.08億トンとなり、1990年度以降の最小を更新した。

一次エネルギーの国内供給量 

エネルギー供給とCO2排出

 石油、天然ガス、石炭、原子力、水力、その他の再生可能エネルギー、バイオマスなど、自然から直接得ることができるものが「一次エネルギー」であり、海外からの輸入分を含めたものが「一次エネルギー総供給」と呼ばれている。国内備蓄量などを差し引いたものが、「一次エネルギー国内供給」である。

 また、使い勝手の面から「一次エネルギー」を、電力、ガソリン・軽油燃料、水素などに加工・転換して利用する場合が増えており、これらは「二次エネルギー」と呼ばれている。実際に、石炭を使って発電する場合や原油をガソリン・石油などに精製する場合には、CO2排出が生じる。

 消費者は、「一次エネルギー」と「二次エネルギー」の両方を使い、消費したエネルギーは「最終エネルギー消費」と呼ばれている。ただし、「最終エネルギー消費」には、「一次エネルギー」の輸送や「二次エネルギー」への加工・転換中に生じる損失分は含まれない

 したがって、「エネルギー起源CO2排出量」は、消費者が直接排出するCO2排出量の他に、「運輸部門」や「エネルギー転換部門」が排出するCO2排出量をカウントする必要がある。

図1 エネルギー供給から消費への流れとCO2排出

一次エネルギーの国内供給

 「一次エネルギー国内供給」は17,361PJで、前年度比1.1%減少した。内訳はシェア80.1%の化石燃料が13.903PJで1.9%減少し、残りの原子力を含むシェア19.9%の非化石燃料が3.458PJで2.2%増加した。 

 化石燃料の内訳は、石炭が前年度比で1.1%減少でシェア24.4%、石油が3.4%減少でシェア34.8%あり、天然ガス・都市ガスが0.3%減少でシェア20.8%と、いずれも減少した。

 また、非化石燃料の内訳は、原子力が9.6%増加でシェア4.6%、水力は3.3%の減少でシェア3.6%水力を除く再生可能エネルギーは1.2%で12年連続の増加でシェア8.5%、廃棄物発電などの未活用エネルギーは3.2%の増加でシェア3.2%である。

注釈:図中のエネルギー量は、エネルギー単位(ジュール)を使用。原油換算kℓlに換算する場合には、図中のPJ(ペタジュール:1015ジュール)の数字に0.0258を乗じることで、原油換算百万klとなる。
(原油換算:原油1リットル = 9,250kcal = 38.7MJ。1MJ = 0.0258リットル)。

図2 一次エネルギー国内供給   出典:経済産業省

 2005年をピークに「一次エネルギー国内供給」は減少傾向を示している。これには化石燃料の減少の影響が大きく、非化石燃料は原子力が減少した分を再生可能エネルギーが補うかたちで増減への影響は少ない。

 2024年度の「一次エネルギー国内供給」の内訳から明らかなように、化石燃料のシェアは80.1%であり依然として高いのが現状である。2050年カーボンニュートラルを達成するためには、「一次エネルギー国内供給」の抜本的な見直しが必要なことは自明である。

図3 2024年度の一次エネルギー国内供給の内訳 出典:経済産業省

二次エネルギーへの加工・転換

 2024年度の「一次エネルギー国内供給」は17,361PJで、前年度比1.1%減少した。内訳はシェア80.1%の化石燃料が13.903PJで1.9%減少し、残りの原子力を含むシェア19.9%の非化石燃料が3.458PJで2.2%増加した。二次エネルギーへの加工・転換には、この「一次エネルギー国内供給」の一部が使われる。 

石油精製の場合

 ガソリン・軽油・重油などの「石油製品生産量」は、2024年度は5,101PJで前年度比7.2%減少しており、2010年度以降で最小となった。主力のガソリンは1,385PJで前年度比5.6%減少し、軽油は1,255PJで6.7%減少し、重油は999PJで10.5%減少と、いずれも減少傾向にある。

 原料となる「一次エネルギー国内供給」の内の化石燃料は13.903PJと比べ、2024年度の石油製品生産量は5,101PJであることから、石油精製の歩留まりを考慮すると大きな割合を占めていることが分かる。 

発電電力量の場合

  「一次エネルギー」の電力への転換では、発電用のエネルギー投入量(PJ)➡発電電力量(億kWh)の変換が行われる。原料となる「一次エネルギー国内供給」の化石燃料は13,903PJと比べ、2024年度の発電用のエネルギー投入量は8,450PJであることから、大きな割合を占めていることが分かる。

  火力・原子力・再生可能エネルギーなどの「発電電力量」は、2023年度は9,922億kWhで前年度比0.5%とわずかに増加となった。火力発電の化石電源比率は62.5%と依然として高いが、原子力・再生可能エネルギーの非化石発電比率は東日本大震災以降で最大の32.5%まで上昇した。

 化石電源の内訳は、石炭が2834億kWhで前年度比0.9%の増加、天然ガスが3157億kWhで2.3%の減少、石油等が710億kWhで2.8%の減少と、石炭が微増傾向を示した。

 一方、非化石電源の内訳は原子力が935億kWhで前年度比11.2%の増加⽔⼒が735億kWhで1.8%の減少、太陽光が981億kWhで1.7%の増加、⾵⼒が117億kWhで11.3%の増加、地熱が39億kWhで18.8%の増加、バイオマスが414億kWhで1.4%の増加である。  

図4 エネルギー転換部門の発電電力量  出典:経済産業省

 2024年度の火力発電のシェアは67.5%に減少した。CO2排出量の多い老朽火力発電所(石炭と石油)の休廃止によるものである。また、2024年度は夏季・冬季共に、全エリアにおいて安定電力供給に最低限必要な予備率3%を確保でき、節電要請は出されなかった。

 再生可能エネルギー発電のシェアは23%に増加した。その内訳は太陽光発電が9.9%で前年度比1.8%増加水力発電が7.4%で1.8%減少、バイオマス発電が4.2%で1.4%増加、風力発電が1.2%で11.3%増加、地熱発電が0.39%で13.8%増加である。出力変動の大きい太陽光発電に偏り、水力発電の減少が、今後の課題である。

 原子力発電のシェアは9.4%に増加した。 2024年10月には東北電力女川原発2号機(PWR、82.5万KW)、同年12月には中国島根原発2号機(PWR、82.0万KW)が相次いで再稼働した。しかし、定期点検や司法判断などによる休停止で、2024年の国内原子力発電所の平均設備利用率は30.6%に留まる
 ただし、国内原発の平均設備利用率は2023年の28%、2025年の34.1%と徐々に上昇傾向にある。

最終エネルギー消費

最終エネルギー消費の減少傾向

 日本の最終エネルギー消費は2005年度をピークに、年々減少傾向を示している。政府はこれを省エネ効果」と呼んでいるが、少なくとも2010年以降のエネルギー消費量の低下には国内産業停滞の影響が含まれていることに注意が必要である。 

 2024年度の最終エネルギー消費は11,313PJで、前年度比1.7%減少した。その内訳は、石炭が3.7%減、石油が3.7%減少の影響が大きい。2020年からの新型コロナウイルス感染拡大以前のエネルギー消費の減少傾向に戻りつつある。  

図5 最終エネルギー消費  出典;経済産業省

  2024年度の最終エネルギー消費に占める化石燃料(石炭、石油、天然ガス・都市ガス)のシェアは64.3%と高く、非化石燃料(電力、熱、再生可能・未利用エネルギー)のシェアは35.7%である。

図6 2024年度の最終エネルギー消費の内訳 出典:経済産業省

部門別の最終エネルギー消費

 2024年度の最終エネルギー消費の部門別シェアでは、企業・事業所他部門が60.7%、運輸部門が15.1%、家庭部門が24.2%を占め大きな変化はない。すなわち、企業・事業所他の生産活動の一部が、家庭でのテレワークなどに移行した状態が続いている。

 前年度比増減は、企業・事業所他部門が前年度比2.2%減少(うち製造業は3.2%減少)、家庭部門も0.0%運輸部門が1.5%減少(旅客が0.6%減、貨物が2.8%減)である。
 電力消費は、企業・事業所他部門が1.1%増(内製造業は0.0%、業務他は2.3%増)、家庭部門が2.3%増、運輸部門が0%となっている。
 若者の車離れや人口減などの影響を受けた製造業の生産活動停滞の影響は継続しており、家庭ではテレワークの継続や節エネが進められ、運輸の2024問題の影響が出始めている。

 政府は、将来的に人工知能(AI)の普及に伴うデータセンターや半導体工場の稼働によるエネルギー消費の増加を見込んでいるが、現時点ではその影響は見えてこない。

図7 部門別最終エネルギー消費  出典:経済産業省

 2024年度の最終エネルギー消費の部門別シェアの詳細からは、企業・事業所他部門の60.7%の中でも製造業の割合が41.7%と高く、運輸部門では旅客部門14.1%と貨物部門10.1%均衡している。

図8 2024年度の部門別最終エネルギー消費の内訳 出典:経済産業省

エネルギー起源のCO2排出状況

国内のCO2排出量 

 現在、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大以前のCO2排出傾向に戻りつつある。202年度のCO2排出量は前年度比1.4%減少し、2013年度比で26.5%減少となる9.08億トンとなり、1990年度以降の最小を更新した。2030年の目標である6.67億トンに向け、今後も継続的にCO2排出量を低減する必要がある。

 部門別の内訳は、企業・事業所他部門が前年度比1.7%減少して4.98億トン、家庭部門が0.8%減少して1.47億トン、運輸部門が1.6%減少して1.87億トン、エネルギー転換部門が3.9%減少して0.76億トンである。
 企業・事業所他部門のCO2排出量の削減は順調に進んでいるが、家庭部門、運輸部門、エネルギー転換部門はより一層の削減努力が必要である。

図9 エネルギー起源CO2排出量  出典:経済産業省
図8 2024年度のエネルギー起源CO2排出量の内訳 出典:経済産業省

 2024年12月、政府は、2026年度に本格導入する排出量取引制度の参加企業に、CO2排出削減目標の策定と公開を義務づける方針を固めた。目標を策定しない企業には罰則を科す方向で、2025年の通常国会に提出する関連法の改正案に盛り込む。目標は政府が公表し、外部から監視できるようにする。
 対象は国内のCO2排出量が10万トン/年を超える300~400社で、国内排出量の約6割をカバーする。政府が毎年度、各社にCO2排出上限の枠を割り当て、排出量の実績が枠を超えた企業は取引市場で枠を購入する。排出量が枠より少なければ、余った枠を市場で売却できる。実績は第三者機関が認証する。 

CO2排出量の低減に向けて

■温室効果ガス排出削減目標の達成に向け、2021年に第6次エネルギー基本計画で2030年度の電源構成の目標値を閣議決定された。
 火力発電を(天然ガス20%、石炭19%、石油2%)を低減し、再生可能エネルギーを36~38%(太陽光14~16%、風力5%、地熱1%、水力11%、バイオマス5%)、原子力を20~22%に増強する。
■2024年12月、2025年3月までの閣議決定をめざし第7次エネルギー基本計画の概要が報道され、2040年の電源構成の目標値が示された。
 火力発電を30~40%に低減し、再生可能エネルギーを40~50%(太陽光22~29%、風力4~8%、地熱1~2%、水力8~10%、バイオマス5~6%)、原子力を20%に増強する。

 2024年度の火力発電のシェアは67.5%と依然として高止まり状態にある。火力発電所の休廃止はCO2排出量削減に直接効いてくるため、目標シェアの2030年度の41%、2040年度の30~40%に向けた具体的な施策が必要である。

 また、CO2を排出しない再生可能エネルギーの増強は不可欠である。しかし、2023年度における再生可能エネルギー発電のシェアは23.0%に留まっている。2022年の主要国電源別発電電力量の構成比を見ると、ドイツ、イタリア、英国、中国などと比較して、日本はまだまだ低いのが現状である。 

図5 主要国の電源別発電電力量の構成比(2024年)

 2024年度の太陽光発電のシェアが9.9%風力発電のシェアが1.2%と目標には程遠いのが現状である。共に出力変動が顕著なため、現状は火力発電による出力平準化を行っているが、本格的な太陽光・風力発電の導入拡大には、電力貯蔵システムの設置が不可欠である。
 また、出力変動がない地熱発電のシェアが0.39%、バイオマス発電が4.2%と低調であるため、増強の具体的な施策が必要である。

 一方、2023年度の原子力発電のシェアは9.4%と増加したが、目標には程遠い。2024年12月、原子力については安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、「可能な限り原発依存度を低減する」方針から、「最大限活用する」と方針を見直すことが報道された。
 今後、閣議決定が行われる第7次エネルギー基本計画に基づいて、原子力発電所の再稼働ならびに稼働率の向上、安全性を高めた次世代新型炉への建て替えも期待したい。 

 2022年までの電力ひっ迫による節電要請は、政府の長期エネルギー政策の見通しの甘さによるものである。ロシアのウクライナ侵攻による燃料高騰や混乱が続く中東情勢から、今後もエネルギー需給動向は厳しさが増すと考えられる。
 政府には単なる目標設定だけの成り行き任せではなく、より緻密で具体的なエネルギー政策が求められる。 

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