カーボンニュートラル

はじめに

脱炭素向け「グリーン預金」の導入

相次ぐ大手銀行の「NZBA」からの離脱が報じられる一方で、地方銀行が資金使途を脱炭素向けの融資などに限定する「グリーン預金」を相次いで導入している。地方銀行はグリーン預金を原資に、再生可能エネルギー関連の設備投資などの資金需要に応える。中小企業はグリーン預金に資金を預けることで、脱炭素に貢献している姿勢をアピールできる?
はじめに

ネットゼロ・バンキング・アライアンスから離脱(Ⅲ)

米国の銀行や保険会社の「業態別アライアンス」を通じた活動が反競争的であるとの指摘や、トランプ大統領の就任に対する政治的な配慮が「GFANZ」の活動に影響した可能性が大きい。「GFANZ」は国・地域ごとの事情を踏まえ、より現実的な行動に適応する脱炭素化ビジネスモデルに移行しつつある。一方で、日本の金融機関の「NZBA」からの離脱が始まった。どこまで本音か分からないが、「2050年までのネット・ゼロ排出へのコミットメントを維持する」ことに期待したい。
はじめに

ネットゼロ・バンキング・アライアンスからの離脱(Ⅱ)

2021年11月に英国グラスゴーで開催された「COP26」に合わせて、金融機関が気候変動対策に取り組むための枠組みとして、同年4月にグラスゴー金融同盟「GFANZ」が発足した。「GFANZ」は傘下に9セクターの業態別連合を保有しており、「NZBA」はそのうちの一つで銀行・投資銀行アライアンスである。実は、他のアライアンスである「NZIA」や「NZAMI」でも、メンバーの離脱が進んだ。
はじめに

ネットゼロ・バンキング・アライアンスからの離脱(Ⅰ)

いよいよ「ポスト脱炭素」が始まったのか?米国の大手銀行が相次いで「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」からの脱退を発表した。2025年1月、トランプ氏の米国大統領返り咲きで高まる政治的圧力を受け、米国の大手銀行が我が身を守るための行動とも報じられている。
はじめに

エネルギー基本計画とGX2040ビジョン(Ⅱ)

岸田政権時代に、2023年2月にはGX(グリーントランスフォーメーション)基本方針が閣議決定され、2023年5月にはカーボンプライシングの導入を含むGX推進法、原子力発電所の運転期間の実質60年超への延長を盛り込んだGX脱炭素電源法のGX関連法が相次いで成立した。また、これらの政策を実行するため「GX推進法」に基づき、2023年7月には「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)が閣議決定された。2025年2月18日、「GX2040ビジョン 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂」が閣議決定された。GXに向けた企業の投資意欲を高めるのが目的で、2040年までの”産業構造と産業立地”を示し、”GXを加速するための個別産業分野の取り組み”、”成長志向型カーボンプライシング構想”を明らかにした。
はじめに

エネルギー基本計画とGX2040ビジョン(Ⅰ)

2025年2月18日、「地球温暖化対策計画」が閣議決定された。同時に「第7次エネルギー基本計画」、「GX2040ビジョン」も閣議決定され、一体的にエネルギー安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現に取り組むことが公表された。「地球温暖化対策計画」で2040年温室効果ガス73%削減の野心的な目標を設定したものの、「第7次エネルギー基本計画」ではデータセンターなどの増加で電力需要が増えるとし、火力発電の継続利用と脱原発を目指してきた従来方針から大きく転換し、原子力と再エネの脱炭素電源の最大限の活用方針を打ち出した。太陽光や風力などの再エネも増やす方針を示したが、さまざまな制約要件や電気料金が高くなるとの試算から、電源割合は太陽光以外は低めにとどめられた。
はじめに

脱炭素に向けた発電電力量の推移(Ⅺ)

2023年度の国内総生産(GDP)は、物価の影響を含めた名目GDPが前年より5.7%増えて591.4兆円に達した。 しかし、米ドル換算では1.1%減の4.2兆ドルで、ドイツの4.4兆ドルに抜かれ、世界4位に転落した。円安を何とかしないと、2024年度はインドにも抜かれるとの報道が流れている。
はじめに

脱炭素に向けた発電電力量の推移(Ⅹ)

FIT制度が導入された2012~2015年、バイオマス発電の発電電力量の年平均伸び率は4%程度で推移し、2016年以降は、年平均伸び率は14.8%と高い値を示している。バイオマス発電の買取実績は太陽光発電、風力発電に次いで多く、堅調な導入が進められている。年平均伸び率14.8%で発電電力量が増加を続けた場合、2030年には1054億kWhに到達する。これは、第6次エネルギー基本計画で目標とした総発電電力量(9300~9400億kWh)の5%とするバイオマス発電の電力量(465~470億kWh)の2.2~2.3倍になる。
はじめに

脱炭素に向けた発電電力量の推移(Ⅸ)

FIT制度が導入された2012~2015年、地熱発電の設備設置容量の年平均伸び率は0%で推移し、2016年以降は、2019年、2020年、2023年に若干の伸びを示したものの、概ね年平均伸び率は4%に留まる。年平均伸び率は4%で増設が進むと仮定すれば、2030年の地熱発電の発電電力量は43億kWhに拡大する。しかし、第6次エネルギー基本計画で目標とした総発電電力量(9300~9400億kWh)の1%とする地熱発電の電力量(93~94憶kWh)の45.7~46.2%に留まる。 
はじめに

脱炭素に向けた発電電力量の推移(Ⅷ)

FIT制度が導入された2012~2016年、風力発電の設備設置容量の年平均伸び率は4.6%程度で上昇傾向を示した。2017年以降は伸び率は隔年で変動するが、上昇傾向は平均7.2%に留まっている。2023年度の発電電力量は105億kWhに達したものの、2030年度の目標値である465~470億kWhには程遠い。