再エネ 世界で進む風力発電の導入現状(Ⅲ) 極めてポテンシャルが高いのに風力発電が拡大しない理由は、企業として風力発電事業に”うま味”がないためである。その証拠は、1990年代後半以降に補助金で設置された既設風力発電所が約20年の寿命を迎えて撤去が相次いでいることから明らかである。既設風力発電所は環境アセスをクリアし、約20年間以上にわたり発電を行ってきた。新たに環境アセスを実施して風力発電所を新設するよりも、既設発電所を更新する方がよほど合理的に風力発電を拡大できる。 2025.09.12 再エネ
再エネ 世界で進む風力発電の導入現状(Ⅱ) 海外では風力発電が太陽光発電よりも導入が進んでいる。しかし、日本では2023年度において太陽光発電が国内の年間発電電力量の9.8%に達しているのに対し、風力発電は2011年度と比べて約2倍に増加したが1.1%にとどまり、年間発電電力量では太陽光発電の1/10以下の低水準である。 一方、日本の陸上風力ポテンシャルは出力ベースで1億4376万kWと、国内の全発電設備容量の70%に達する。また、洋上風力ポテンシャルは出力ベースで6億784万kWで、国内の全発電設備容量を超えて294%にも達する。ポテンシャルは高いのに、なぜ、風力発電の導入は進まないのか? 2025.09.09 再エネ
再エネ 世界で進む風力発電の導入現状(Ⅰ) 世界の風力発電の総設備容量は、2015年から年平均成長率11%で増加しており、2024年末時点で11億3600万kWに達した。その内訳は、陸上風力が10億5230万kW、洋上風力が8320万kWである。国別の陸上風力発電設備の総導入量は、2024年末時点で1位は中国で4億7878.7万kW(シェア:46%)と伸びが著しい。日本の総導入量は558.9万kWで、世界の導入量の約0.5%である。一方、洋上風力発電設備の総導入量は、2024年末時点でも1位は中国で4181.3万kW(シェア:50%)と伸びが著しい。日本の総導入量は288万kWであり、世界の導入量の約0.3%と大きく出遅れている。 2025.09.05 再エネ
再エネ 洋上風力発電の現状(Ⅳ) 国内の洋上風力発電ポテンシャルは6億784万kWである。日本は2030年までに洋上風力で総出力:1000万kWの目標を掲げているが、現時点での見通しは500万kWに達しない。さらなる大規模開発を積み上げる必要がる。一方、第一弾の秋田・千葉県沖の3海域の大規模開発(168.84万kW)では、三菱商事連合が従来のFIT売電価格に比べて破格の安値(11~17円/kWh)で受注した。第二弾の秋田、千葉・新潟・長崎県沖の7海域の大規模開発(181.6万kW)では、伊藤忠商事、三井物産の企業連合が「ゼロプレミアム水準」の3円/kWhで受注した。欧米で起きている洋上風力の中止・撤退の二の舞を踏むことにならないか? 2024.01.10 再エネ
再エネ 洋上風力発電の現状(Ⅲ) 第一弾のFIT公募で、秋田県沖と千葉沖の3海域案件を落札したのは全て三菱商事連合で、他社に比べて大幅に安い供給価格を設定した。その結果、ヴェスタスは日本での工場建設を中止、シーメンス・ガメサは次回公募の見送りを表明した。入札で負けたヴェスタス、シーメンスが拠点戦略を変える可能性が高い。第二弾のFIP公募で、秋田県八峰町・能代市沖の4海域案件を落札したのは、伊藤忠商事、三井物産、住友商事の企業連合である。落札価格は3円/kWh以下が提示されたため、公募を中断して行われた政府によるルールの見直し(早期の運転開始)が勝敗に大きな影響を与えた。ただし、1海域案件のみ再入札となった。 2024.01.09 再エネ
再エネ 洋上風力発電の現状(Ⅱ) 欧米で起きている洋上風力の中止・撤退は、洋上風力発電を再生可能エネルギー拡大の切り札と位置付けている日本でも起きることは容易に予測できる。既に、国内の風車メーカー(三菱重工業、日立製作所など)は撤退しており、サプライチェーンの構築もこれからの日本である。一方、昨春から進んでいる円安に加えて、インフレの終焉も見通せない状態が継続している。果たして、計画通りに洋上風力発電の導入が進むのであろうか?国内動向を、少し振り返ってみよう。 2024.01.05 再エネ
再エネ 洋上風力発電の現状(Ⅰ) 2023年12月、アラブ首長国連邦ドバイで開催されたCOP28で示された「再エネ2030年までに3倍」の目標は、再生可能エネルギー普及の追い風となるであろう。しかし、新型コロナウイルス禍をきっかけとした世界的な供給網の混乱や資材価格の高騰に加え、米国中央銀行の利上げで資金調達コストが膨らんだことにより、洋上風力発電の採算割れによる開発計画の頓挫が起きている。果たして、日本の洋上風力はどうなるのか? 2024.01.04 再エネ