岸田政権時代に、2023年2月にはGX(グリーントランスフォーメーション)基本方針が閣議決定され、2023年5月にはカーボンプライシングの導入を含むGX推進法、原子力発電所の運転期間の実質60年超への延長を盛り込んだGX脱炭素電源法のGX関連法が相次いで成立した。
また、これらの政策を実行するため「GX推進法」に基づき、2023年7月には「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)が閣議決定された。
2025年2月18日、「GX2040ビジョン 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂」が閣議決定された。GXに向けた企業の投資意欲を高めるのが目的で、2040年までの”産業構造と産業立地”を示し、”GXを加速するための個別産業分野の取り組み”、”成長志向型カーボンプライシング構想”を明らかにした。
GX2040ビジョンとは?
産業構造と産業立地について
GX分野への投資を通じて、①革新技術を活かした新たなGX事業が次々と生まれ、②日本の強みである
素材から製品に至るサプライチェーンが、脱炭素エネルギーの利用やDX(デジタルトランスフォーメーション)により高度化された「産業構造」をめざす。すなわち、”脱炭素の推進”と”経済成長”の両立をめざす。
脱炭素電源(再生可能エネルギーや原子力)が豊富な地域に企業投資を呼び込むことで、新たな産業集積の構築をめざし、進出企業には電気料金や税負担の軽減措置が検討されている。スピード感を持って、「新たな産業用地の整備」と「脱炭素電源の整備」を進め、地方創生と経済成長につなげる。
GX加速のための個別産業分野への投資
GXを加速させるためには、製造・輸送・くらし・エネルギーなどの分野ごとに中長期的な視点を持って取組みを進めることが必要である。既に、エネルギー政策と密接に関連する個別産業分野について、「分野別投資戦略」に基づき個別のGX投資促進策が進められている。

投資促進策の具体化には、温暖化ガス排出量の多い部門について取り組む必要がある。日本全体のCO2排出量の36%を占める製造関連産業、18%を占める輸送関連産業、33%占める家庭・業務、7%を占めるエネルギー関連産業に対して、GX経済移行債を活用した「投資促進策」が講じられている。

成長志向型カーボンプライシング構想
GX実現に向け、今後10年間で150兆円を超える大規模な投資を官民協調で実現する。そのため、「成長志向型カーボンプライシング構想」に基づき、”企業のGX投資へのインセンティブを高める支援策”と”規制・制度的措置”を、長期・複数年度にわたり実施する。
「成長志向型カーボンプライシング構想」とは、企業のGX投資の前倒しを促進するためにGX経済移行債を発行し、「分野別投資戦略」に基づき10 年間で20 兆円規模の先行投資支援を行う。
並行して、カーボンプライシングとして2028年度から「化石燃料賦課金」を導入し、2033年度から発電事業者への「有償オークション」を導入するなど段階的に導入する。炭素価格が中長期的に上昇することから、GX投資を早めに行った事業者が得をする仕組みである。
また、2026年度からは「温室効果ガスの排出量取引制度」を本格始動する。割り当てられた排出枠を超えた企業は、市場で枠を購入する必要があり、枠に余剰が出れば売ることもできる

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