LED照明器具の過去を振り返る(Ⅱ)

はじめに

 2010年代、経済産業省はLED照明の普及に向けて、照明器具メーカーに向けて巧みに要請・規制を加えていった。すなわち、2008年の一般白熱電球の製造・販売の自粛要請、2010年の「照明器具の2020年目標」の設定、2015年の「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」施行である。
 最後の詰めは、2019年の照明器具及び電球・ランプについて、新しい省エネ基準(トップランナー基準)等を定める省令及び告示の公布である。

LED照明の普及に向けた規制

一般白熱電球の製造・販売の自粛要請

 2008年5月、経済産業省は非効率性や省エネ推進などを理由に、一般白熱電球の製造・販売の自粛を照明器具メーカーへ要請した。その結果、

東芝ライテックは、いち早く反応して代替の効かない白熱電球を除き、一般白熱電球の製造を2010年3月に終了した。
三菱オスラムは、政府要請に基づき2012年末に終了する計画だった一般白熱電球の製造を1年前倒して、2011年3月末に終了した。
パナソニックも、業界の動向をみて、一般白熱電球の製造を半年前倒して、2012年10月末に終了した。

照明器具の2020年目標の設定

 2010年6月に閣議決定された経済産業省「新成長戦略」「エネルギー基本計画」では、グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略の柱の一つに、高効率次世代照明(LED照明・有機EL照明)を2020年までにフローで100%、2030年までにストックで100%普及させる目標を設定した。

 これを受けて、2014年9月、日本照明工業会「照明成長戦略2020」では、LED、有機EL、レーザーなど半導体照明(SSL:Solid State Lighting)の占有率を、2020年にフロー100%・ストック50%、2030年にストック100%の目標を設定した。

 以上のように、2030年までにすべての照明器具をLEDや有機ELにするという国の目標が設定された。

蛍光灯の製造に関する規制

 2013年には「水銀に関する水俣条約」が国連で採択され、2015年に「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」が施行された。
 そのため、水銀灯は2020年12月末で原則として製造・輸出入が禁止された。また、2021年1月以降、蛍光灯器具と蛍光灯など水銀使用製品のうち基準を超えるものは規制対象となり、製造することができなくなった。

照明器具の省エネ基準規制

 2019年4月、経済産業省は照明器具及び電球・ランプについて、新しい省エネ基準(トップランナー基準)等を定める省令及び告示を公布した。これがLED普及への最後の詰めとなった。
 照明器具の省エネ基準は、蛍光灯器具、LED電球器具を一緒にして2020年を目標年度とする新基準(消費電力量あたりの照明器具の明るさ)が定められた。
 電球の省エネ基準は、白熱灯、蛍光灯、LED電球を一緒にして2027年を目標年度とする新基準(消費電力量あたりのランプの光源の明るさ)が定められた。

 エネルギー効率の順位は、白熱灯<蛍光灯<LED電球であることは明らかである。これらを照明器具として、さらに電球として横並びで省エネ型の製品を製造するトップランナー基準値を設定すれば、メーカーとしてはLED照明器具を選択せざるを得ない。その結果、

東芝ライテックは、他社に先行して2017年3月をもって蛍光灯器具の製造を中止した。
三菱オスラム、2019年3月末までに全ての蛍光灯器具の生産を終了した。
パナソニックも、2019年3月末をもって蛍光灯器具の生産を終了した。

LED照明普及策の主要ポイント

 2010年代に進められた国内のLED普及策は、10年に満たない期間で成功裏に推進された。その主要ななポイントは以下の3点に集約される。モビリティー分野の変革に関しても、メーカー任せにせず、政府がより主体的に介入しリードする必要性を感じる。

LED照明の普及に向けたインセンティブとして「地球温暖化問題」と「東日本大震災後の電力ひっ迫」があり、早い段階から政府としての最終目標「2020年における高効率次世代照明(LED照明・有機EL照明)」を設定した。
●高価格のLED照明への切り換えに関して、電球の交換寿命をベースに白熱灯照明や蛍光灯照明と比較することで、経済的な優位性を一般向けにも分かりやすく示すことができた
●最終目標であるLED照明への移行に向けて、適切な時期に照明器具メーカーに対して政府から要請ならびに法規制をステップバイステップで施行することができた。

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