電力貯蔵

再エネ

常態化する再エネ制御とその対策(Ⅴ)

国際エネルギー機関(IEA)では、電源構成のVRE比率が20%を超えると系統運用が不安定になり、大規模なエネルギー貯蔵設備が必要になると分析している。日本のVRE比率は2023年時点で平均22.9%に達しており、地域によっては高い値を示している。そのため、再エネ制御により太陽光発電と風力発電の投資収益性が下がり、普及の阻害要因となっている。揚水発電のような大規模電力貯蔵システムや連系線を使った他地域への送電が不可欠となっている。
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常態化する再エネ制御とその対策(Ⅳ)

2018年10月13日に起きた九州電力の「再エネ制御」を発端に、経済産業省は「再エネ制御」を減らす対策を進めている。既述の①揚水発電や蓄電設備の増強や②連系線の強化は、問題解決のための抜本的な対策であるが、実現には時間を要する。そのため、直近の制度対策に追われている。
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常態化する再エネ制御とその対策(Ⅲ)

2023年4月8日(土)、中部電力パワーグリッドは再エネ発電事業者に対して出力制御の指示を出した。中部電力のように電力需要が大きい大都市を抱えるエリアで起きたことで注目を集めた。再エネ制御は発電した再エネを捨てることであり、実にもったいない話である。再エネ制御を減らす方策はないのか?中部電力パワーグリッドの例を参考に考えてみる。
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常態化する再エネ制御とその対策(Ⅱ)

この再エネ制御は、2018年10月13日(土)に九州電力エリアで離島以外では初めて行われた。2022年以降、北海道、東北、中国、四国、沖縄電力、北海道、東北エリアでも実施された。抜本的な対策が遅れたことで、「再エネ制御」の常態化が始まり、再生可能エネルギーの導入意欲が削がれている。実際には東京電力エリアでは、2024年度までは「再エネ制御」は起きていない。しかし、毎年、東京電力は「再エネ制御」が起きる可能性を発表しており、いつ起きても不思議ではない状況にある。 
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常態化する再エネ制御とその対策(Ⅰ)

電力は「需要」と「供給」のバランスがとれないと周波数が乱れ、大規模停電につながる恐れがある。出力変動の大きな太陽光発電などの供給量が増えると、電力会社は火力発電の出力抑制などの対応をとるが、それでも十分に対応できない場合は、太陽光発電や風力発電による電力を一時停止(買い取らない)する。この再エネ制御は、2018年10月13日に九州電力エリアで離島以外では初めて行われた。2022年以降、北海道、東北、中国、四国、沖縄電力、北海道、東北エリアでも実施された。抜本的な対策が遅れたことで、「再エネ制御」の常態化が始まり、再生可能エネルギーの導入意欲が削がれている。
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日本がリードしてきた太陽光発電(Ⅱ)

出力1MW (メガワット、=1000kW)以上の大規模太陽光発電所が、メガソーラーと呼ばれている。一般に、1,000kW以上のメガソーラーを設置するには、約2ha(ヘクタール、=100X200m)の土地が必要である。最近では大規模な設置場所が限定されてきたこともあり、ミドルソーラーと呼ばれる出力規模:10~50kWの太陽光発電設備も増えている。
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日本がリードしてきた太陽光発電(Ⅰ)

太陽電池は、p型半導体とn型半導体との接合面(p-n接合面)に光が吸収されると、電荷分離が生じて電子とホール(電子の抜けた穴)が生成され、それを集電極に導くことで起電力が生じる現象を利用する。現在も主流である第一世代のシリコン系太陽電池セルは、その結晶型により単結晶と多結晶とに分類される。第二世代の太陽電池はシリコン使用量の少ない薄膜型や、シリコンを全く使用しない金属化合物系太陽電池が実用化されている。最近では、第三世代の太陽電池として量子ドット型も注目されている。
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世界で導入が進む太陽光発電(Ⅱ)

この数年で太陽光発電への期待度が急速に高まっている。IAEの示す目標では、2050年の電源構成に占める太陽光発電の割合が33%➡41%へと高く設定されている。風力発電の割合は35%➡31%、その他の再生可能エネルギーの割合も20%➡17%、水素発電・CCUS付き発電の割合も4%➡3%へと減少している。
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世界で導入が進む太陽光発電(Ⅰ)

IEAによると、2022年の世界のCO2排出量は369億トンと過去最高を示した。2050年のネットゼロ達成のためには、2030年時点でCO2排出量の削減目標を、211億トン➡240億トンに積み増す必要がある。この目標達成のカギとなるのは再生可能エネルギー発電の増強である。2022年の世界の再生可能エネルギー発電の設備容量は3629GW(36.29億kW)だが、2030年には約3倍の1万1008GW(110.08億kW)に拡大する必要がある。そのため、太陽光発電の追加設備容量を630➡820GW/年に積み増す必要があるとした。
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再生可能エネルギーの未来予測(Ⅵ)

老朽化した中小水力発電設備の補修やリプレースは、発電事業者には大きな費用負担であり、事業からの撤退の原因ともなっている。政府は既存設備のリパワーリングやリプレースによる高効率化を積極的に推進し、発電電力量の増大を図るための仕組み作りを行う必要がある。また、中小水力発電の導入拡大に関しては、地方自治体任せになっていないだろうか? 開発初期での流量調査や測量に関するコストが増大しており、今後、気候変動による流水量の変化を含め、政府としての積極的な支援により調査を進め、新規地点の開発を促進する必要がある。