日本がリードしてきた太陽光発電(Ⅱ)

再エネ

 出力1MW (メガワット、=1000kW)以上の大規模太陽光発電所が、メガソーラーと呼ばれている。一般に、1,000kW以上のメガソーラーを設置するには、約2ha(ヘクタール、=100X200m)の土地が必要である。
 最近では大規模な設置場所が限定されてきたこともあり、ミドルソーラーと呼ばれる出力規模:10~50kWの太陽光発電設備も増えている。

太陽電池セル/モジュールの製造

シリコン系結晶型太陽電池の構造

 シリコン系結晶型太陽電池セルの製造は、結晶シリコンのインゴットをスライスして150~200μm程度の厚さのp型シリコンウエハを製造することで始まる。このウエハ表面にn型シリコン層を形成するため、高温(800~900℃)でリン(P)を拡散処理する。

 セル表面には細かい凹凸(光閉じ込め用テクスチャ構造)を付与して反射防止膜を形成するなど、光を逃がさない工夫(ライトトラッピング)が施される。さらに、エネルギーを吸収した電子を効率良く取り出せるよう、表面や裏面の電極周辺の構造にも様々な工夫がされている。

 得られたセルを太陽電池モジュールに仕上げるため、太陽電池セルを複数配置して接続し、周囲の環境に耐えられるように支持板(ガラス板や樹脂など)、充填材(封止材)、裏面材(バックシート)を用いて封止した後、全体の強度をもたせるためにアルミフレーム外枠をはめてシールする。

 代表的な充填材(封止材)はEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)で、加熱・加圧することで太陽電池セル、ガラス、バックシートと接着させる。バックシートは、太陽電池セルを封止後、封止材と接着する。シール材は、太陽電池モジュールとフレームの間や端子ボックスを装着する際の固定と結露防止用に使われる。

図3 シリコン系結晶型太陽電池セルの断面構造
図4 太陽電池モジュールの断面構造

大規模太陽光発電所(メガソーラー)

 出力1MW (メガワット、=1000kW)以上の大規模太陽光発電所が、メガソーラーと呼ばれている。一般に、1,000kW以上のメガソーラーを設置するには、約2ha(ヘクタール、=100X200m)の土地が必要である。

 メガソーラーの主体となるのは太陽電池アレイで、国内では効率良く太陽光を受けるため南向きに設置され、その設置角度は33~45°である。
 太陽電池アレイで発電した直流電流を集めるのが接続箱で、太陽電池モジュールを直列につなげた太陽電池ストリングを1つの回線とし、それぞれの回線を逆流防止のダイオードなどを通して1つの接続箱の中に集めて、いったん集電盤にまとめられる。

 その後、パワーコンディショナー(PCS:Power Conditioning System)へ送られ、PCSのインバータで所定の三相交流に変換し、受変電設備に集電した後、電力会社の商用系統に送電する。
 ただし、必要に応じてPCSに送る前に、直流で蓄電池に充電する。日射計・外気温計などの気象情報をベースに、この蓄電池を用いてメガソーラーの出力制御が行なわれる。

 ところで、最近では大規模な設置場所が限定されてきたこともあり、ミドルソーラーと呼ばれる出力規模:10~50kWの太陽光発電設備も増えている。太陽光発電設備の電力会社への連系接続は、設備の出力規模に応じて低圧接続(100V/200V)、高圧接続(6000V)、特別高圧接続(数万V以上)に分類される。

 出力50kW未満のミドルソーラーは低圧接続であり、変電設備が不要である。そのため、設置期間が数日程度と短く、施工・申請が容易で、高圧接続のような電気主任技術者の選任が不要などのため、オフィスやビルの屋上、駐車場施設や工場などの屋根への設置が進められている。

 2021年に入り既稼働の太陽光発電所を、再生可能エネルギー事業者や投資目的のファンドが買収する動きが急増している。国内立地の減少も一因であるが、FITによる買取価格の大幅な低下の影響が大きい。
 出力:1000kWのメガソーラーの新設には建設費が約2億円を要するが、FIT売電価格の高い既設メガソーラーは4億円以上で取引しても、採算上の問題はないといわれている。FIT制度開始から10年が経過して、投資回収を終えた企業による高値売却の例も出ている。

図5 大規模太陽光発電所(メガソーラー)の基本構成
図6 北海道稚内メガソーラーの太陽光パネル(出力:5MW)
図7 受変電装置と電力貯蔵装置

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