「東京電力柏崎刈羽原発6号機」の再稼働が順調に進めば、次に「東京電力柏崎刈羽原発7号機」、「北海道電力泊原発3号機」、「日本原子力発電東海第二原発」の再稼働が期待される。
しかし、 「安全対策に終わりはない」、原子力規制委員会には慎重の上にも慎重を期して、焦ることなく審査を進める責務がある。一方、電力会社は常に透明性をもって公表することが重要である。
今後の再稼働に向けた原発の現状
日本原子力発電の東海第2原発と敦賀原発2号機
2024年7月、原子力規制委員会(NRA)の審査チームは、敦賀原発2号機は、原発の安全対策を定めた「新規制基準」に適合していると認められないと結論づけた。2号機の原子炉建屋直下に将来動く可能性がある活断層の存在が否定できず、再稼働を事実上認めない判断である。
2015年11月、再稼働に向けて審査申請がなされたが、既に活断層と分かっている「浦底断層」に近く、原子炉建屋の北側約300mにあるK断層が活断層かどうか?原子炉建屋直下まで延びているか?が検量された。日本原子力発電は再稼働を諦めず、2025年9月から再申請に必要な追加調査を開始した。
2026年1月、東海第二原発の防潮堤整備などの安全対策工事について、2026年12月の完成時期に間に合わせることは厳しいと発表した。安全対策工事では4度目の延期になる。
2018年7月には原子力規制委員会(NRA)の安全審査に合格。再稼働には地元の同意と安全対策工事の完成などが必要であるが、不具合が発生していた。周辺自治体では原子力災害時の避難計画が策定できていない自治体もあり、再稼働は見通せない。
北海道電力泊1,2号機
2025年3月、北海道電力は泊原発1,2号機について、2030年代前半の再稼働をめざす方針を示した。最新の3号機の再稼働準備を優先しており、2013年7月に審査申請した1,2号機の審査は実質上止まっている。北海道電力は泊原発1,2,3号機(合計出力:207万kW)全機の再稼働をめざしている。
2025年12月、北海道の鈴木直道知事が、泊原発の再稼働を巡り「1、2号機は審査が継続中のため、予断を持って申し上げる状況にない」と語る。一方、3号機については11月の定例道議会で、再稼働に同意することを表明しており、北海道電力は防潮堤の建設を進め、2027年早期の稼働を予定している。

東北電力女川原発3号機、東通原発1号機
2025年1月、東北電力は、女川原発3号機の再稼働に向けた審査申請の準備の一環で、原子炉建屋周辺で地質調査を始める。2年程度の予定で、原子力規制委員会への審査申請は2027年以降になる。
新規制基準では、原子炉建屋などは断層活動によるずれの生じない地盤に設置する必要がある。そのため、3号機の原子炉建屋の周辺にある6本の断層について10本程度のボーリング調査を行う。
2025年8月、 東北電力は、2014年6月に審査申請した東通原発1号機の再稼働に向けた安全対策工事について、9月までとしていた完了時期を2027年3月頃に延期すると発表した。敷地のかさ上げや、想定する津波の再評価とその対応策などに時間を要するためとしている。
東北電力は想定される津波(基準津波)の高さを12.1mと評価し、現在の敷地は標高13mであるが、更なる安全確保のため17mにかさ上げする計画である。敷地の造成計画が変わったため津波の再評価が必要になり、基準津波やその津波が1年に何回発生するかという年超過確率も再評価する。

東京電力HD柏崎刈羽原発1,2,3,4,5,6,7号機
2025年10月、東京電力HDの小早川智明社長は地元要望に応え、柏崎刈羽原発(全7基)の内1,2号機の廃炉の検討を表明。加えて、県に10年程度にわたり1000億円規模の資金拠出の方針も示した。1,2号機の廃炉を判断する時期は、6号機の再稼働から1.5年程度の期間を要するとした。
1号機の廃炉費用は約823億円、2号機は約736億円とした2023年度の見積額を説明し、廃炉が決まれば30~40年かけて段階的に作業を進める。また、政府は原発を巡る緊急時に利用する避難道の整備費1000億円超を、全額負担する方針を打ち出した。
2025年11月21日、柏崎刈羽原発6,7号機の再稼働について、新潟県の花角英世知事は条件付きでの容認を表明した。
2025年12月、新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は、柏崎刈羽7号機の再稼働の判断を保留するとした。11月に都内で赤沢亮正経済産業相と面会し、準備が整った6号機は再稼働を容認すると回答している。
7号機の判断保留は、自身の任期である2028年12月までに再稼働のメドが立たないためとした。7号機は再稼働に必要なテロ対策設備の工事が大幅に遅れており、東京電力は工事完了時期が2029年8月に延びるとしている。

東京電力柏崎刈羽原発の現状
1、2号機(BWR、各110万kW):2027年8月頃に廃炉を判断
3、4、5号機(BWR、各110万kW):未定、
6号機(ABWR、135.6万kW):2026年2月に再稼働、テロ対策施設整備のため2029年9月までに停止
7号機(ABWR、135.6万kW):2029年8月以降の再稼働をめざす
中部電力浜岡3,4,5号機
2009年1月、運転期間が30年以上を経過し、将来起きる可能性の高い「南海トラフ地震」への安全対策費を勘案して、浜岡第1(BWR、出力:54万kW)と浜岡第2(BWR、出力:84万kW)は営業運転を終了し、11月に廃止措置を決定した。2042年度の廃炉に向け2025年から解体を進めている。
2011年5月、福島第一原発事故に端を発し、政府要請で浜岡原発を全面停止する。2014年2月に浜岡原発4号機(BWR、113.7万kW、1993年9月運開)、2015年6月に3号機(BWR、110万kW、1989年8月運開)の再稼働をNRAに申請した。5号機(BWR、138万kW、2005年1月運開)の再稼働は未申請である。
将来に想定される「南海トラフ地震」の震源域に浜岡原発は位置しており、地震対策と津波対策に関しては、他原発に比べてより厳しい対策とその審査が必要とされる。

北陸電力志賀原発1,2号機
2023年3月、志賀原発2号機の安全審査は2014年8月に申請された。原子力規制委員会は敷地内を走る10本の断層は「活断層ではない」とする北陸電力の主張を了承した。NRAは7年前に活断層の可能性があるとの見解をまとめたが、北陸電力が提出した新たな物証などから判断を転換した。
北陸電力は地中から抜き取った鉱物を顕微鏡で観察する「鉱物脈法」で得た新試料を、2018年7月以降に提出して審査が続けられてきた。NRAが重要施設直下の活断層の評価を変えたのは初めてで、2号機は廃炉の危機から一転して再稼働に向けた審査が進められる。
2024年1月、最大震度7を観測した能登半島地震により、志賀原発の再稼働に向けた審査が長期化すると発表。原発周辺の活断層の審査を進める中で、想定より長い海底活断層が連動した可能性が浮上した。NRAは原発への影響を見極めるには数年レベルの時間が必要との見方を示している。
審査資料では能登半島北部に連なる計約96kmの海底活断層の連動を想定したが、政府の地震調査委員会は今回の地震で約150kmの岩盤が動いた可能性を指摘し、想定される地震規模が大きくなる。
また、原発に近い志賀町沖合の活断層は今回の地震で動きやすくなったとの指摘もある。今後、活断層について国などの調査を待つ必要があり、その結果を待って原発の耐震設計を審査する。北陸電力は、同原発1号機については安全審査を申請していない。

原発の再稼働が遅れているという人々の中に、原子力規制委員会(NRA)の審査の長期化を問題視する発言を見受ける。しかし、これは大きな間違いである。
そもそも世界に類をみない火山や地震などの災害大国である日本に、事故を起こした場合のリスクが極めて高い原発を建設することを安易に考えてはいけない。NRAには慎重の上にも慎重を期して、焦ることなく審査を進めていただきたい。
また、「安全対策に終わりはない」ことを常に念頭に置く必要がある。2024年(令和6年)1月1日の能登半島地震で、変圧器損傷による外部電源の一時的喪失という想定外の事象が生じた。

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