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航空機の機体へのサメ肌加工

サメ肌を模した微細なリブレット加工が、流体による摩擦抵抗の低減に効果的なことは良く知られている。航空機の機体表面へのリブレット加工の実証試験が、航空各社(ルフトハンザ、ANA、JAL)進められている。1~2%程度の燃費削減が可能な技術で、CO2削減にも有効とされている。今後のリブレット加工の適用拡大には費用対効果が鍵となる。記録を争う高速水着では、それなりの成果を上げたが、経済的に成り立たなければ航空機では採用されない。 
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動き始めたSAFの国産化

国際民間航空機関(ICAO)が示す「2050年CO2排出の実質ゼロ」に向け、持続可能な航空燃料(SAF)の国産化に向けた動きが活発化している。2020年代に入り、航空機関連企業、バイオマス関連企業、石油プラント関連企業、エネルギー関連企業などが、相次いでSAFの国内製造を公表した。ただし、SAFを製造するための原料であるエタノールや水素を輸入する動きもある。短期的に低コスト化を図るための手段であるが、将来にわたる持続可能性とエネルギー自給率の観点から問題は残る。
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次世代バイオ燃料の動向

ユーグレナが製造・販売するバイオ燃料『サステオ(SUSTEO)』には、2020年3月に完成した軽油の代替となる「次世代バイオディーゼル燃料」と、2021年3月に完成したジェット燃料の代替となる「バイオジェット燃料(SAF)」がある。現在、自動車、航空機、船舶、鉄道などでの実証試験が進められているが、継続して使用するためには低コスト化が大きな課題である。脱炭素化をリードするために、日本が持つ数少ないキー技術の一つであり、将来に向けて公的支援などによる育成が不可欠である。
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航空機の未来予測

抜本的なゼロエミッション航空機の実現に向け、蓄電池性能の観点から小型機はピュアーエレクトリック航空機に向かい、主力となる中大型機は燃料電池航空機、あるいは水素タービン航空機を実現する必要がある。開発リスクの高い大型機では航空燃料のSAF導入が進むと考えられる。
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空飛ぶクルマ(Ⅳ)

「空飛ぶクルマ」に関しては、世界中に様々な情報が発信されている。日本も遅れずにキャッチアップする必要がある。環境や安全基準の作成、パイロットの技能証明、自動運転などの運航方法の確立など、法規制が十分ではなく、新規産業育成を促すためにも諸環境の整備を急ぐ必要がある。
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空飛ぶクルマ(Ⅲ)

回転翼機ではドローン型の場合、All electric VTOLが主流で開発が進められている。しかし、現在の蓄電池性能では大型化と飛行距離に制限が生じるため、燃料電池+蓄電池システム搭載へと進化が始まっている。ヘリコプター型の場合、飛行速度を上げるためにメインローターと左右両舷に主翼やプロペラを持つ複合型ヘリコプターが開発されたが、現在は中断されている。
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空飛ぶクルマ(Ⅱ)

固定翼機は、走行時に翼を折りたたみ飛行時に翼を展開するSTOLから、フラップに推力偏向電動ダクト(DEVT)ファンを並べたeVTOLへと進化している。固定翼/回転翼複合機では、垂直離着陸用と前方への推進用に2種類のプロペラを使い分けるeVTOLと、離着陸時には上を向き巡航時には進行方向を向く推力偏向型のeVTOLが開発されている。現状の蓄電池性能を考慮すると、いずれも大型化と飛行距離には問題があるため、ガスタービン発電と蓄電池のハイブリッドエンジン搭載が有望視されている。
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空飛ぶクルマ(Ⅰ)

世界中で様々な「空飛ぶクルマ」が開発されているが、現時点で、空飛ぶクルマに明確な定義はない。無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できる「ドローン」を乗車可能にしたものや、EVベースに翼・プロペラや自動制御システムを備えたものなどが開発されている。 
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電動航空機の開発動向(Ⅷ)

中大型航空機を対象にして、航空機メーカーはSAFに軸足を置くボーイングと、水素燃焼タービン航空機開発に一歩踏みだしたエアバスとに2極化している。一方で、エンジンメーカーはGE、P&W、ロールス・ロイスのいずれもが、現在の航空機エンジンの水素燃料化を長期的に進めていく戦略である。そのため、短期的には需要を満たすSAFのサプライチェーンの構築、長期的にはグリーン水素のサプライチェーンの構築が重要となる。
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電動航空機の開発動向(Ⅶ)

ジェットエンジンで水素を燃やすための燃焼器の改良、軽量・コンパクトな極低温液体水素貯蔵タンクの開発、大幅な機体の軽量化など開発課題は山積であり、航空機用水素燃焼タービンは実用化されていないのが現状である。JAXAは水素燃焼タービンをベースに、液体水素で冷却する超電導モーター・発電機による水素電動ジェットエンジンの設計検討を、2030年を目指して実施している。