航空機開発の失敗と成功(Ⅲ)

 「HondaJet」は、主翼上面に独自に開発したエンジンを取り付けて、従来は胴体内部に必要であったエンジン支持構造が不要となり、胴体内のスペースが30%以上も拡大し、客室内の騒音や振動が軽減された。また、機体には軽量化のために炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を採用している。

ホンダジェットの成功

 2022年10月、米国Honda Aircraft Company Inc.(HACI、ホンダ エアクラフト)が新型「HondaJet Elite II」を発表。小型ビジネスジェット機「HondaJet Elite」を刷新し、燃料タンクを拡張し、航続距離を従来機から204km延ばして2865km、最大離陸重量は5035kgに増強した。
 2023年前半にはエンジンの出力を制御し、自動で速度を一定に保つオートスロットル機能、2023年後半には緊急着陸装置を導入し、機体運用の安全性を高める。

 全米航空機製造者協会(GAMA)によると、HondaJetの納入機数は2021年に37機であり、競合するブラジル・エンブラエルの「フェノム100EV」、米国テキストロン・アビエーションの「セスナ・サイテーションM2」を抑え、小型ジェット分野では5年連続のシェア首位となった。

HondaJet(ホンダジェット)とは

 2004年7月、航空機エンジン製造のため、本田技研工業は子会社のHonda Aero, Inc.(HAI、ホンダ エアロ)を米国ノースカロライナ州バーリントンに設立した。
 2004年10月、小型ビジネスジェット用エンジンの開発・販売に向け、ホンダ エアロとGEアビエーションの合弁会社であるGE Honda Aero Engines LLC(エアロ エンジンズ)を米国オハイオ州シンシナティに設立した。
 その後、2006年8月には、「HondaJet」の開発・製造・販売を行うHonda Aircraft Company(ホンダ エアクラフト)を分社し、米国ノースカロライナ州グリーンズボロに設立した。

 HondaJetは、主翼上面に独自のエンジンを取り付けて、従来は胴体内部に必要であったエンジン支持構造が不要となり、胴体内のスペースが30%以上も拡大し、客室内の騒音や振動が軽減された。また、機体の軽量化のために炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が採用されている。

 航続距離を伸ばした改良版「HondaJet Elite(エリート)」は、乗員を含む最大7人乗りで、長さ12.99m、高さ4.54m、幅12.12m、エアロ エンジンが開発したHF120ターボファンエンジンを搭載し、最大運用高度:13106m、最大巡航速度:782 km/h、航続距離:2261 kmである。

 現在は、さらに航続距離を伸ばした「HondaJet Elite S」「HondaJet Elite II」をラインアップしており、2022年2月時点で世界で約200機以上が運用されている。

図4 Honda Aircraft Companyの小型ビジネスジェット「HondaJet」
出典:本田技研工業

HondaJet開発の背景

 本田技研工業創業者の本田宗一郎の飛行機好きは有名で、1962年に航空機事業参入を宣言して研究所内で細々と研究が進められた。1986年に航空機開発に本格着手し、米国ミシシッピ州立大学ラスペット飛行研究所を拠点に、航空機の基礎研究、複合材料技術、航空機用エンジンの研究を開始した。

 1993年3月、世界初のオールコンポジット製実験機(MH-02)の初飛行に成功。6人乗りの機体はCFRP製で軽量化し、主翼は高翼式としてNASAで研究されていた前進翼を採用、双発のエンジンは主翼の上部に取り付ける斬新な構造である。

図5 世界初のオールコンポジット製実験機MH-02
出典:本田技研工業

 1996年8月、MH-02で170時間に及ぶ飛行試験を終了した。その後、経費のかかる航空機の研究開発終了も検討されたが、1997年には、藤野道格みちまさが「HondaJet」のコンセプトスケッチを描き、航空機の研究継続を懇願した結果、プロジェクトリーダーとして推進することになる。

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