バイオエタノールとは?

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 ガソリンに混合して利用されるバイオ燃料は、バイオエタノールのほかにバイオエタノールから製造されるバイオETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)バイオブタノールがある。
“ごみ”を“エタノール”に変換する世界初の革新的技術を確立、積水化学工業、プレスリリース、(2017).

 バイオエタノールは、農作物、木材・古紙などの植物の糖分を微生物によってアルコール発酵させ、蒸留して作られる液体アルコール(C2H5OH)であり、ガソリン代替、またはガソリンとの任意の濃度での混合利用が可能である。

 混合ガソリンは世界燃料憲章(WWFC)で燃料品質が規格化され、エタノールの混合率によってE3(体積比で3%混合)、E10(同10%混合)と表記される。エタノールは金属腐食やゴム劣化を招くため、「揮発油等の品質の確保に関する法律(品確法)」で使用規制が行われている。

 日本では2003年の法改正で、既存のガソリン車向けにE3の使用が認められ、対応車に限りE10の利用も可能とされている。海外ではE5やE20など、さまざまな混合率のものが使われている。エタノールは水分と混和してガソリンと分離するため、使用にあたり水分の混入防止が必要である。

 バイオETBEは、ガソリンの精製過程などで副生されるイソブテンとバイオエタノールを化学合成して製造されており、化学式はC2H5OC(CH33である。ETBEはオクタン価向上剤としてガソリンへの添加利用が可能であり、体積比で7%程度まで混合しても自動車性能には影響がない。
 ETBEは水分混入による分離がなく腐食性もないため、日本ではブラジルからバイオエタノールを輸入してバイオETBEを製造し、混合燃料を「バイオガソリン」として販売している。
 ETBEは「化学物質の審査及び製造などの規制に関する法律(化審法)」の第二種監視化学物質で、分解性や人への長期毒性、動植物への毒性などのリスク評価を行い、低減対策を施す必要がある。

 また、バイオブタノールも次世代バイオ燃料として注目されている。エタノールはガソリンに比べて熱量が低く、高い燃費効率が得られない問題があるが、ブタノールの熱量はガソリンに近く、エタノールのような吸湿性も無い。また、ガソリン以外に軽油に混合して利用することもできる。

 図1には、世界のバイオエタノール生産量の推移を示す。2013年以降は予測値である。世界のバイオエタノールの生産量は、2000年代以降、急速に増大しているが、米国とブラジルの生産量が突出しており、全世界の生産量に占める両国の割合は約7割に達している。
・農林水産省「海外食料需給レポート(Monthly Report) 2015年http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_rep/monthly/201503/201503.html

図1 世界のバイオエタノール生産量の推移および予測
出典:OECD-FAO「Agricultural Outlook2014-2023」

 石油産出国ではないブラジルでは、1930年代から主にサトウキビを原料にしたバイオメタノールを生産している。2014年の時点でエタノール製造工場が約400カ所あり、世界で唯一の輸出余力を有している。
 米国では主にトウモロコシを原料にバイオエタノールを生産し、オイルショック後から再生可能燃料基準(RFS2)によりガソリンへの一定量の混合が義務付けられ、2009~2022年の混合目標量が決定されている。
 欧州では麦類を中心にテンサイなどを原料にバイオエタノールを生産している。ドイツが欧州最大の消費国で、英国、フランス、イタリアの順である。2009年の再生可能エネルギー指令(RED)により、2020年までに輸送燃料の10%をバイオ燃料とすることが義務づけられている。
 最近では、米国・欧州ともに家庭ゴミや食品工場などからの産業廃棄物から、食料と競合しない第二世代のバイオエタノールの開発が進められている。

 日本では食料と競合する第一世代のバイオエタノールは普及していない。バイオエタノールの製造過程で発酵や蒸留のために化石燃料が使われるため、CO2排出量の抑制効果が少ないことも一因である。
 2017年12月には花王(株)がバイオエタノール事業への参入を表明している。製糖工程で発生するサトウキビの搾汁過程で生じるバガスから、長岡技術科学大学、バイオインダストリー協会などと独自の酵素を活用して効率的なエタノール精製技術を開発し、2020年以降の酵素供給事業を目指している。
 注目されているのは、第三世代の微細藻類を利用したバイオ燃料で、単位面積当たりの生産効率がケタ違いに高く、CO2吸収効率は森林の10倍といわれている。得られる油は基本的に石油由来と同じで、熱量が高い。最大の課題は安価な大量培養技術で、現状の生産コストを1/10にする必要がある。

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