エネルギー

再エネ

伸び悩む国内の地熱発電(Ⅰ)

固定価格買取制度(FIT)の追い風を受け、多くの再生可能エネルギーによる発電電力量が伸びる中で、地熱発電は小規模設備の導入は進むものの累積導入量は約55万kWとほとんど増加せず、2021年度の総発電電力量に占める割合は0.3%にすぎない。地熱発電は、期待できない再エネなのか?地熱発電電力量は1997年をピークに年々減少傾向にあり、総発電電力量は3割程度減少している。これは生産井からの蒸気量の減少が主原因とみられるが、機器の経年劣化現象も知られている。地熱発電所の新設に注目が集まっているが、短期的には設備更新や老朽化対策への政府支援が重要である。
再エネ

太陽光パネルメーカーの縮小・撤退(Ⅱ)

日本はエネルギー自給率が12.1%と世界的にみても低い。これは石炭・石油・天然ガスなど化石燃料への依存度が高く、そのほとんどを輸入に頼るためである。その結果、輸入先の社会情勢や国家間の関係性などの影響を受け、現在も「電力ひっ迫」や「電気料金高騰」などに大きく影響している。エネルギー自給率を上げるためには、再生可能エネルギーの導入が有効であるが、その旗頭である太陽光発電について、自前の優れた太陽光パネル技術を有するにも関わらず、安価な中国製を導入しているのが現状である。国産パネルの保護・育成に向け、政策転換の潮時ではないか?
再エネ

太陽光パネルメーカーの縮小・撤退(Ⅰ)

太陽光パネルは、2000年代前半にはシャープが世界シェア1位で、京セラ、パナソニック、三菱電機などの日本企業が上位5社を占めた。しかし、中国・韓国企業が2010年前後に急拡大していた欧州市場向けに大幅な設備投資を進めた結果、現在は中国企業が世界シェア1~5位を独占している。コモディティ化が進むシリコン系太陽光パネルは、他メーカーへの入れ替えが容易であるため、毎年上位順位が変動する過当競争市場にあり、その価格は年々低下している。当面は規模の経済によるコスト優位の中国企業がシェア上位を占め、日本企業の再参入は難しい。
火力発電

バイオマス発電の相次ぐ中止・撤退?

2023年1月、バイオマス発電所の稼働停止が相次いでいると報じられた。間伐材を燃料として活用する地産地消型モデルは、①国内林業の停滞で調達が進まず、②アブラヤシやヤシ殻(PKS)など安価な輸入材への依存が強まり早々に崩壊した。加えて、ウクライナ侵攻に伴う③ロシア産木材の輸入減、④パーム油の価格高騰が追い打ちをかけた結果、主に輸入材に頼る大型の木質バイオマス発電所で採算悪化が生じている。
原子力

原発の建て替え・運転期間の延長!?

2022年12月、エネルギー政策の大転換が報じられた。政府はGX実行会議でまとめた脱炭素社会へ向けた基本方針の中で、原子力発電所の建て替えや、運転期間の延長を表明したのである。安部元首相の国葬儀問題、防衛費の大幅増額と財源問題に続き、またしても国民を無視した動きが始まったのか?
エネルギー

2021年度のエネルギー需給実績

2022年11月、経済産業省は2021年度のエネルギー需給実績(速報)を公表した。最終エネルギー消費は前年度比2.0%増で、新型コロナウイルス感染拡大の落ち込みから戻した。一次エネルギー供給は、前年度比3.4%増で、内訳は化石燃料が8年ぶりに1.4%増である。 その結果、エネルギー由来のCO2排出量は、前年度比1.2%増の9.8億トンであった。
エネルギー

火力発電所の仕組み(Ⅴ)

地球温暖化問題が注目される中でガスタービンの高温化による高効率化が進められ、ガスタービン・コンバインドサイクル発電システム(GTCC)の導入が進められた。ガスタービン高温部品(動翼、静翼、燃焼器)には冷却技術、構造材料、コーティング技術が高温化に大きな役割を果たしている。
エネルギー

火力発電所の仕組み(Ⅳ)

国内の主流は、ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC )発電方式である。貯留タンクから供給された液化天然ガス(LNG)を燃焼器で燃焼させてガスタービンを駆動し、高温の排ガスを排熱回収ボイラに導き、得られた蒸気で蒸気タービンを回転させてダブルで高効率発電を行う。
エネルギー

火力発電所の仕組み(Ⅲ)

超臨界圧から超々臨界圧へと進められた火力発電プラントの高効率化は、蒸気条件の高温・高圧化の歴史といっても過言ではない。これを実現できたのは使用温度域に応じたボイラ材料、蒸気タービン材料の開発が大きな役割を果たしている。
エネルギー

火力発電所の仕組み(Ⅱ)

石炭船から陸揚げされた石炭は、貯炭場を経て微粉炭機で粉砕される。ボイラ内で微粉炭を燃焼することで蒸気を発生させて蒸気タービンを回転させ、タービン発電機で発電する。蒸気タービンを駆動させた蒸気は復水器で冷却されて水に戻し、再びボイラに送り蒸気に変換され、これが繰り返される。