火力発電所の仕組み(Ⅱ)

エネルギー

 石炭船から陸揚げされた石炭は、貯炭場を経て微粉炭機で粉砕される。ボイラ内で微粉炭を燃焼することで蒸気を発生させ、蒸気タービンを回転させて発電機で発電する。蒸気タービンを駆動させた蒸気は復水器で冷却されて水に戻り、再びボイラに送り蒸気に変換され、これが繰り返される。

石炭火力発電所とは

 石炭は一般炭と原料炭に分類されるが、石炭火力発電用に使われるのは「一般炭」で、単位重量あたりの発熱量は相対的に低く、燃焼させるには大型のボイラが必要である。また、固体のためコンベアなどの運搬設備が必要で、硫黄・窒素の含有量が多いため燃焼時にSOゃNOが発生する

石炭火力発電所の全体構成

 石炭火力発電所の全体構成を、図3に示す。

 石炭船から陸揚げされた石炭は、貯炭場を経て微粉炭機で粉砕される。ボイラ内で微粉炭を燃焼して蒸気を発生させ、蒸気タービンを回転させて発電機で発電する。蒸気タービンを駆動させた蒸気は復水器で冷却されて水に戻り、再びボイラに送り蒸気に変換され、これが繰り返される。  

 一般に復水器の冷却には、大量の海水が使われる。ボイラの排ガス中に含まれる有害物質は排煙脱硝装置、電気式集じん装置、排煙脱硫装置により排出基準値以下となるよう除去した後に、煙突から大気中に放出される。

図3 石炭火力発電所の全体構成

発電用ボイラの構造例

 図4には、発電用ボイラの構造例を示す。

 ボイラでは復水器から戻された水を過熱器により蒸気に変換し、主蒸気管を使って高圧タービン入口に送る。仕事をした蒸気は温度が下がり湿り度が増すため、高圧タービン出口から蒸気を取り出し、再熱器に送って高温に再加熱して中圧あるいは低圧タービン入口に送る。

 ボイラでは、このような再熱サイクルを入れることで中圧あるいは低圧タービンの液滴による損傷を防止すると共に熱効率を高めている。ボイラの中で過熱器管および再熱器管は最も高温にさらされ、過熱器管は高圧を受けることから構造材料の選択が重要となる。

図4 発電用ボイラの構造

発電用蒸気タービンの構造例

 図5には、大容量の発電用火力発電に用いられる蒸気タービンの構造例を示す。

 再熱再生復水タービンと呼ばれ、高圧段と中圧段に、それぞれ圧力の異なる高温蒸気がボイラから供給される。高圧段、中圧段、低圧段にはそれぞれケーシング側に固定されたノズル(静翼)を通し、ロータに植えつけた動翼に蒸気が吹き付けられてロータが回転力を得る。

 また、中圧段で仕事をした蒸気はクロスオーバー管を通じて低圧段に送られ、同様にケーシング側に固定されたノズルを通してロータに植えつけた動翼に吹き付けられてロータが回転力を得る。

図5 発電用蒸気タービンの構造(再熱再生復水タービン)

 蒸気タービンのロータは発電機ロータに直結されており、発電機内コイルの中で発電機ロータに設置された磁石を回転させ、電磁誘導現象により回転運動を電気に変換する。

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