2020年度の国内年間発電電力量は、水力を含む再生可能エネルギー20%、原子力発電所4%、火力発電所76%(LNG39%、石炭31%、石油等6%)である。欧米の先進国を中心として世界的に進む「脱石炭火力発電所」の動きに、日本は大きく遅れているのが現状である。
COP27で化石賞を受賞するのに十分な資格を有している。無視してはいけない日本の国際評価!
火力発電電力量の推移
現在、火力発電所で使われている燃料は液化天然ガス(LNG:Liquid Natural Gas)、石炭、石油である。1970年代の石油ショック後、エネルギー基本計画で石油火力発電を減らし、代替エネルギーとして原子力発電、LNG発電、石炭発電を積極的に導入してきた。
しかし、2011年3月、東日本大震災で東京電力福島第一原子力発電所事故を境にして、状況は大きく変化する。安全対策を含む総点検のために国内年間発電電力量の25%を占めた原子力発電所を順次に休止させ、再生可能エネルギーを主力電源とし、不足分を火力発電所の増強により補う計画を進めた。
しかし、東日本大震災から11年を経たにも関わらず、エネルギー基本計画で主力電源と位置付けた再生可能エネルギーは10%程度の増強に留まり、安全を最優先に進めるとした原子力発電所の再稼働も十分には進められず、出来る限り引き下げるとした火力発電比率もほぼ横ばいである。(図1参照)
その結果、2020年度の国内年間発電電力量は、水力を含む再生可能エネルギー20%、原子力発電所4%、火力発電所76%(LNG39%、石炭31%、石油等6%)である。欧米の先進国を中心として世界的に進む「脱石炭火力発電所」の動きに、日本は大きく遅れている注)。
注)フランスは2021年、英国は2025年、カナダとイタリアは2030年までに、石炭火力発電所の廃止を表明している。石炭火力発電の割合の高いドイツも段階的廃止の完了時期を2030年に前倒しを表明し、米国は豊富に産するシェールガスを燃料とするLNG火力発電への移行が進む見通しである。
ところで、火力発電に使われる石油は環境規制をクリアするために、硫黄酸化物(SOx)の発生量が少ない超低硫黄原油(硫黄分0.1%以下)が主に使われており、助燃用に重油も使われている。常温で液体の石油は、LNGや石炭と比べて貯蔵や運搬が容易であるが、燃料価格は割高である。
日本では1970年代の石油ショック以後、石油火力発電を減らすことをエネルギー政策として進めてきた。発電所の新設も原則禁止しており、老朽化により石油火力発電は日本各地から少しずつ無くなっている状況にある。現在は電力不足時のピーク電源として使用されることが多い。
そのため日本の火力発電は、LNG焚コンバインド・サイクル発電と石炭火力発電とが主体となっている。
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