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リチウムイオン電池の現状(Ⅱ)

世界的な脱炭素化の流れの中で、EVメーカーは市場への投入機種を拡大し、低価格帯の車両を目指している。そのため車両価格の3割を占める車載電池のさらなる低コスト化が不可欠である。米国24Mテクノロジーズが開発した乾式(ドライ)電極技術は、電解液を正極材料や負極材料と混合してスラリー状にし、アルミニウム箔に塗布して液体成分を蒸発させずに使用することで、乾燥工程を省略でき、大幅な低コスト化を可能とした。これを契機に「半固体電池」の開発が急進している。
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リチウムイオン電池の現状(Ⅰ)

リチウムイオン電池を構成する正極材料、負極材料、セパレーター、電解液の主要4部材について、2010年代前半まで世界シェアの上位を日本企業が占めていた。しかし、2020年には中国勢の追い上げがコスト面、品質面でも顕著となり、調達リスク回避に向けた動きが始まっている。一方で、2022年には中国・寧徳時代新能源科技(CATL)が、高価なニッケルやコバルトを使わないLFP(リチウム・鉄・リン)系正極材料を用いたリチウムイオン電池を開発・販売を開始した。エネルギー密度は低いが安価なため自動車メーカーの注目を集めている。
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次世代自動車燃料の取り組み(Ⅱ)

EUでは2035年までに「全ての新車をゼロエミッション化」、すなわち、同年以降は内燃機関搭載車の生産を実質禁止することが確定した。2023年3月、合成燃料(e-fuel)や水素など非バイオ由来の再生可能燃料(RFNBO)を使用する専用内燃機関搭載車に限り、新車販売を2035年以降も容認するとした。これによりe-fuelの注目度が急速に高まっているが、実用化のための最大の課題は低コスト化である。EUではフォルクスワーゲンGrのアウディ、ポルシェが先行して開発・生産を進めている。
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次世代自動車燃料の取り組み(Ⅰ)

経済性の観点から、現状のガソリン車やディーゼル車が、一挙にBEVやFCEVに転換するとは考えられていない。特に、新興国を中心として従来のガソリン車やディーゼル車を利用しつつ、低環境負荷のバイオ燃料(Biofuel)や合成燃料(e-fuel)を使用する移行期間が存在するであろう。一方、米国、ブラジル、EUを中心にバイオ燃料の生産量は急速に伸びているが、現状は製造原料が食料と競合する「第一世代のバイオエタノール」が主流である。食料と競合しない第二世代のセルロース、第三世代の藻類の開発が始まっているが、合成燃料e-fuelと共に低コスト化が大きな課題である。
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最近の自動車用構造材料の変革(Ⅱ)

自動車のボディー骨格を造る際に排出されるCO2をいかに減らすか──。素材~骨格部品の製造工程まで「脱炭素」観点からの変革が進められている。今後、高張力鋼板(グリーンスチール)の冷間プレス材が主体となる方向が見えてきた。一方、米国テスラが「モデルY」のリアボディー部品への採用を公表したことから、アルミニウム合金で一体成型するギガプレスが注目を集めている。今後、溶接組み立てから溶湯加圧成型による低コスト化がEVトレンドとなる可能性が出てきた。
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最近の自動車用構造材料の変革(Ⅰ)

鉄鋼業界は国内産業界で最も多くのCO2を排出しており、遅ればせながら脱炭素化に向け「グリーンスチール」の商品化を加速している。中でも、神戸製鋼は低CO2高炉鋼材”Kobenable Steel”を他社に先駆けて商品化し、低炭素Al合金板材も含めて日産自動車に供給を開始した。2023年春を目指して新型EVの「セレナe-POWER」、「アリア」や、中型SUVの新型「エクストレイル」などへの適用が進められている。
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EVトラックは売れるのか?(Ⅱ)

国内でもトラック規制が始まり、EVトラック需要は高まるため間違いなく売れる。実際に、2021年から国内物流大手のEVトラック導入が始まったことからも明らかである。ラストワンマイル輸送でのEVトラック導入に始まり、用途に応じて中・長距離輸送、FCEVトラックにまで市場は拡大する。日本はトラック規制が遅れたこともあり、ダイムラー・トラック傘下の三菱ふそうトラック・バスを除けば、EVトラックのラインアップは圧倒的に遅れている。今後、海外トラックメーカーとのEVトラック、FCEVトラックの技術提携や製品輸入が進むであろう。国内トラックメーカーの奮起を期待したい。
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EVトラックは売れるのか?(Ⅰ)

物流大手の脱炭素化に向けたEVトラック採用の動きが活発化し、2022~2023年に主要な国内メーカーが小型EVトラックの市場投入を本格化させている。世界で初めて小型EVトラック「eCanter」を発表した三菱ふそうトラック・バスは、全面改良した28型式(海外市場モデルは約80型式)のラインナップを実現、日野自動車は超低床・前輪駆動の小型EVトラック「日野デュトロ Z EV」を発売、いすゞ自動車は小型EVトラック「ELF-EV」を発表した。
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日産のEV戦略に注目!

2021年11月、日産自動車は、今後5年間で約2兆円を投資し、電動化を加速する長期ビジョンである「Nissan Ambition 2030」を発表した。また、2023年2月には、この電動化戦略をさらに加速する取り組みを発表している。トヨタ自動車の基本方針である「全方位戦略」とは異なり、EVシフトを明確に意識した顧客目線での戦略である。日産とルノー、三菱自動車の3社によるアライアンスの2030年に向けた目標が示された。
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ホンダの水素戦略とは?

本田技研工業が、水素事業の拡大を目指すとして4つの方針を公表した。未だに燃料電池車(FCEV)に固執する姿が色濃く見て取れる。FCシステムの商用車、定置電源、建設機械への適用拡大を打ち出しているが、いずれも蓄電池(バッテリー)の性能向上との競争が厳しい。燃料電池でなければできないのは、宇宙での「循環型再生エネルギーシステム」だけである。