非軽水炉型SMRの開発動向について(XIII)

原子力

 英国、カナダ、ドイツ、フィンランド、スウェーデンなどは技術的な難易度と莫大な開発費用から、経済性が見出せないとし、高速炉を開発せず使用済核燃料を直接処分する方針を打ち出している。
 一方、日本は当初の計画をはるかに超える再処理工場への投資や、「高速炉実証炉」の開発、将来的には「高速炉実用炉」の開発をめざしている。

日本における高速炉のまとめ

 軽水炉サイクルを実現するための再処理工場の中核施設である青森県六ケ所村の核燃料の再処理工場の操業が大幅に遅れている。1992年に建設を開始したが、許認可手続きと安全対策などで、2022年9月には26回目となる工事完成の延期を発表。日本原燃は「2024年度のできるだけ早くに操業」とした。
 再処理工場の建設費は当初計画の4倍の3兆1000億円になり、建設開始から2040年頃までの総事業費は14兆4000億円と多額である。

 また、2018年6月、日本原子力研究開発機構(JAEA)の東海再処理施設(1981~2007年に約1140トンの使用済み燃料からプルトニウムを取り出す再処理を実施)が、福島第一原発事故を発端に新規制基準が施行され1000億円を超す安全対策費が見込まれたため廃止を決定した。
 廃止の総費用は約1兆円と試算され、作業は約70年の長期にわたり、機器や配管の除染、機器の解体や廃棄物の搬出、建屋の洗浄などが行われる。再処理は核燃料の切断や溶解、分離精製など様々な工程があり、300億~800億円/基の商業用原発の廃炉に比べ、桁違いに膨大な費用が見込まれる。

図10 核燃料サイクル工学研究所の東海再処理施設 
出典:日本原子力研究開発機構

 一方、高速炉では、使用済み燃料から再処理工場でプルトニウムを分離・回収して製造されたMOX燃料を高効率で燃やすことができる。しかし、1994年に初臨界を達成した原型炉「もんじゅ」では、トラブルが相次ぎ2016年に廃炉が決定した。
 総事業費約1兆1313億円をかけて開発した「もんじゅ」は運転実績がほとんどなく終了し、現在、解体作業中である。2047年の廃炉完了までには、さらに3750億円を要する。

 2024年7月、政府は高速炉の実用化に向けた燃料国産化を発表した。まず、JAEAの高速実験炉「常陽」(最大熱出力:10万kW)の燃料のロシア依存からの脱却をめざす。新燃料工場では商用炉が実現した場合を想定し、高レベル放射性廃棄物が出にくい燃料の製造技術の研究も進める。 
 常陽の燃料はJAEAの核燃料サイクル工学研究所で約680体が製造され、未使用の燃料約80体が貯蔵されているが、「常陽」が再稼働すると10年以内に枯渇する恐れがある。既存の製造設備は老朽化が進み、新燃料工場を整備するとし、建設費は数百億円規模になる見通しである。
 JAEAの高速実験炉「常陽」は1977年に稼働したが、装置トラブルのため2007年から運転を停止、2023年に原子力規制委員会の審査に合格し、2026年度半ばの再稼働に向けて安全対策工事を実施している。

 2024年9月、 JAEAの高速実験炉「常陽」を巡り、立地自治体の茨城県と大洗町は再稼働に向けた安全対策工事の実施を了承した。工事の了承により再稼働に必要な地元手続きは事実上完了し、JAEAは2026年度半ばの運転再開をめざしている。

 2026年4月、JAEAは、高速実験炉「常陽」の運転再開に向けて、新規制基準への適合性に係る設計及び工事計画の認可手続きを進めてきたが、耐震設計や火災対策に関して、より詳細な説明や追加的な調査を行う必要が生じ、運転再開の延期を発表した。延期は今回で4度目となり、再稼働の見通しは立たない。

図11 高速炉開発の要と位置付けられている実験炉「常陽」の安全対策

 英国、カナダ、ドイツ、フィンランド、スウェーデンなどは技術的な難易度と莫大な開発費用から、経済性が見出せないとし、高速炉を開発せず使用済核燃料を直接処分する方針を打ち出している。
 一方、日本は当初の計画をはるかに超える再処理工場への投資や、「高速炉実証炉」の開発、将来的には「高速炉実用炉」の開発をめざしている。莫大な費用を要する核燃料サイクルの開発を再開するには、より確実な見通しが必要である。原型炉「もんじゅ」の失敗を忘れてはならない。

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