京都駅で下車し八条西口から油小路通を南下、東寺通を西行して徒歩約15分、久し振りに弘法大師(空海)の造営になる東寺の五重塔を訪れました。本瓦葺きの高さ55mの五重塔の美麗な木組みは、じっと眺めていても飽きることがなく、古の宮大工の技術に圧倒されるばかりです。
真言宗総本山である東寺の正式名称は教王護国寺で、桓武天皇が平安京に遷都された折、都の南口である羅城門の東西に大寺を置かれた796年の創建といわれています。東寺は左寺とも呼ばれ、創建の地にそのまま残されており一級史蹟に指定されていますが、西寺は残されていません。
本格的な活動は空海が東寺を賜った後で、講堂は825年、五重塔は826年の造営着手に始まります。雷火、兵火などにより4回の消失を経て、その都度再建され、現在は五代目の塔で徳川家光の寄進により1644年に竣工しました。毎年、正月、春、秋に五重塔初層内覧会が開催されています。
地震による倒壊の記録はなく、塔の中心の心柱が礎石に固定されておらず、制振ダンパーの役割を果たすと考えられています。塔自体が右に傾く場合、心柱は左に動いて自立を保とうとして地震の揺れを軽減します。 揺れが大きいと、心柱が各階の床組みにぶつかり、崩壊するほどの横揺れを防ぎます。
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