内閣府が主導する日本成長戦略会議で「17の戦略分野」の危機管理投資・成長投資の検討を加速させるため、戦略分野分科会(分科会長:内閣官房副長官)が設置され、2026年1月から活動が進められている。当初、GXは”資源・エネルギー安全保障・GX”と成長戦略の一部に位置付けられたが、、、、、
「17の戦略分野」の設定について
2025年10月、高市政権が発足。初閣議で①生活の安全保障・物価高への対応、②危機管理投資・成長投資による強い経済の実現、③防衛力と外交力の強化を3本柱に、総合経済対策の策定に入る。菅・岸田・石破首相と引き継がれたGXは、”資源・エネルギー安全保障・GX”と成長戦略の一部に位置付けられた。
赤沢経済産業相は就任会見で、「エネルギー政策では再生可能エネルギーと原子力を最大限活用」する。洋上風力・太陽光とも課題に直面しているが、地域共生と国民負担抑制を図りながら最大限導入し、原発は安全確保と地域の理解が絶対条件で進めるとした。
2025年10月、高市首相は所信表明演説で、エネルギー安全保障に関して次のように述べた。
『国民生活及び国内産業を持続させ、更に立地競争力を強化していくために、エネルギーの安定的で安価な供給が不可欠です。特に、原子力やペロブスカイト太陽電池をはじめとする国産エネルギーは重要です。GX予算を使いながら、地域の理解や環境への配慮を前提に、脱炭素電源を最大限活用するとともに、光電融合技術などによる徹底した省エネや燃料転換を進めます。また、次世代革新炉やフュージョンエネルギーの早期の社会実装をめざします。こうした施策を直ちに具体化させてまいります。我が国の総力を挙げて、強い経済を実現していこうではありませんか。』
2025年11月、高市首相は、「日本成長戦略本部」で造船、防衛産業、AI・半導体など17の戦略分野を設定し、重点投資を表明した。バラマキとならないよう、戦略的な財政出動によって国内産業の供給構造を抜本的に強化するとし、分野ごとに担当閣僚を指名して2926年7月を目途に新たな成長戦略をまとめるとした。
本部長は首相が、副本部長は木原官房長官・城内成長戦略相が務める。国力に直結した分野で供給網を強化する「危機管理投資」、日本が誇る先端技術への「成長投資」を柱に据える。
成長戦略は首相が変わるたびにコロコロ替わるようでは、実現に長い年月を要する技術開発が追随できない。そこで個別産業分野での継続性を主眼に置いて「17の戦略分野」割り当てた。
「製造関連産業」では継続性のある分野が認められるが、「輸送関連産業」では航空・船舶に重点が移る傾向が見える。一方、「くらし関連」は大きく膨らみ、新しくAI、防災・国土強靭化、創薬・先端医療が追加された。「エネルギー関連産業」では、”夢の核融合”の特出しが目に付く。
一方、従来は示されなかった”防衛産業”とAIを支える”量子技術”が追加された。選択と集中は必須であるが、何に大胆投資を行うのか?具体的なロードマップの策定が待たれる。

2025年11月、初の「日本成長戦略会議」で戦略17分野について具体的な施策が示された。重点施策には、民間企業の投資や研究開発を促す内容が羅列されている。月内にまとめる総合経済対策に重点施策を前倒しで盛り込み、官民連携の投資を加速する方針としている。
前石破政権では2024年度の補正予算は13.9兆円であった。高市政権ではGXを含む17分野での重点施策を展開するとした。”選択と集中は必須であり、何を縮小して何に大胆な投資を行うのか?”これが見えない。一方で積極的な財政出動はありだが、その財源をどこに求めるのか?成果指標が未整備のまま巨額投資が走る大いなる実験の始まりである。

2025年11月、経済産業省は有識者会議で、原子力や洋上風力など脱炭素発電所や送配電網の整備に向け、新金融支援制度を2026年度にも導入すると公表。融資は、電力会社間の需給調整や送配電網整備を担う「電力広域的運営推進機関」が民間と協調して行い、必要な財政措置は国が実施する。
原子力(出力:50万kW以上)、洋上風力、太陽光、地熱などを対象とし、LNG火力を含めるかも検討する。投資回収まで原則10年以上を要することを融資条件とし、事業計画は経済産業省が事前審査する。融資上限額は民間と合わせた総融資額の3割を目安に設定する。
具体的には、以下のように民間融資だけでまかなうのは難しい物件が対象:
■大型原発は調査~運転開始まで20年程度を要し、整備に約1兆円/基の投資が必要である。
■洋上風力は世界的な資材費や人件費の高騰で建設コストが、ここ数年で2倍以上に上昇した。
■北海道ー本州間の海底ケーブルの整備計画(約800km)を、東京電力や北海道電力などの送配電子会社4社が検討しているが、総工費は最大1.8兆円と見積もられている。
■データセンターが集積する千葉県印西市周辺で、東京電力は2030年代前半までに変電所や送電網の整備に2200億円を投じる方針を表明している。
2025年11月、政府は「新技術立国」の実現を政策の柱の一つに掲げ、経済安全保障上の重要性が高い技術を「国家戦略技術」として6分野を指定し、税や予算を重点支援する。①AI・先端ロボット、②量子、③半導体・通信、④バイオ・ヘルスケア、⑤核融合、⑥宇宙の6分野が対象である。GXが外れた。
2026年度の税制改正で、6分野への企業投資で投資額の最大40%を法人税額から控除する。認定大学や研究機関との共同研究には50%まで引き上げる。従来の研究開発税制では投資額の最大14%を法人税額から控除できる一般型と、大学などとの共同研究で最大30%控除するオープンイノベーション型であった。
2025年11月、政府は、国際的な開発競争が激化する①人工知能(AI)、②量子技術、⑤核融合の研究開発支援のため、今年度の補正予算案に3分野で計約4000億円を計上する。
前年度補正予算の1.5倍以上の増額:
①AI関連:約1900億円で、科学研究にAIを応用する取り組みに450億円をあてる。AIロボットや自動運転技術の開発などに253億円、政府機関でのAI導入促進に向けて44億円を計上する。
②量子技術:約1300億円で、産業技術総合研究所の研究開発拠点整備に1004億円、国内研究拠点の連携強化事業に33億円を計上する。
③核融合発電:来年度以降の予算計上も含めて約1000億円で、2030年代の発電実証をめざす。国内新興企業支援のため3年間で計600億円を支援し、開発目標を達成すると支援が継続される。核融合科学研究所などの公的機関で、企業も共同利用できる試験設備などの整備費として326億円を盛り込む。
2025年12月、経済産業省は、事業としての将来性があり、経済安全保障上も重要な「フロンティア領域」として6領域を選定。2026年度から重点支援し、当初予算の概算要求に66億円の関連費用を計上しており、予算要求額は段階的に増やして継続的に支援に取り組む。2040年度以降の基幹産業化をめざす。

2025年12月、経済産業省は2026年から「GX推進機構」による債務保証で4500億円の保証枠を追加し、原子力発電所の新設や水力発電所の大規模補修を支援する。現在も建設費など原則20年間支援する国の入札制度「長期脱炭素電源オークション」があるが、支援を受けられるのは稼働後である。
従来、水素やアンモニア、風力発電など脱炭素技術に1.5兆円の保証枠を設けていたがこれを拡大する。

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