錦川に架かる錦帯橋@山口県岩国市

いろいろ探訪記
写真1 山口県岩国市の錦川(にしきがわ)に架かる周防の錦帯橋

 新幹線の新岩国駅からバスで約15分で、山口県岩国市の錦川にしきがわに架かる周防の錦帯橋すおうのきんたいきょうに到着しました。日本三奇橋の一つといわれ、全長204.9m、幅4.2mで、川中に設置された3基の橋台間の木造アーチの支間長は34.0m、35.1m、35.4mで、その両側には反りの大きな桁橋が配されています。

 1673年、岩国藩三代藩主の吉川広嘉の指図さしずにより、3か月の工期で3連のアーチ橋が架けられました。明からの帰化僧である独立性易どくりゅうしょうえきがもたらした西湖遊覧誌に描かれていた中国浙江省杭州市の西湖に点在する島伝いに架けられた石造アーチ橋から、アイデアを得た言い伝えがあります。

 家臣の児島九郎右衛門が設計・施工を担当し、1661年には甲斐の猿橋の調査研究に行った記録が残されています。川の流れに沿った流線形の橋台の設計・施工は、宮原又右衛門と戸川理右衛門が担当しましたが、1674年の洪水で橋台2基が崩れることで錦帯橋は流失しています。
 しかし、急流による洗掘対策として川床の全面に大石を敷設して橋台を再設置することで、その後276年間は流失を免れ、橋体の架け替えのみが10回程度行われました。

 1950年のキジヤ台風では中央の橋台1基が崩れて2つの木造アーチ橋が流失していますが、表面を石張りした鉄筋コンクリート製の橋台が設置されて1953年に再建されています。流失後、鉄筋コンクリート橋での再建案もありましたが、市民の強い要望により木造アーチ橋として原型に復元されました。
 2001~2004年にかけて渇水期(冬季)に、半世紀ぶりとなる全面架替かけかえ工事が行われました。

 この木造アーチは直線部材のもち送りで構成されており、主桁の間にくさびと呼ばれる三角形材が入れられ、巻金とかすがいで固定され、両端は2.5mほど橋台の中に埋め込まれています。木材の防食対策として各所に銅板が使われており、雨水が入らないよう端部の梁木口はりこぐちにはひさしが付けられています。

図1 錦帯橋の断面構造と使用された木材
写真2 2002年3月に行われた第一期架け替え工事

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