再生可能エネルギーの未来予測(Ⅴ)

再エネ

バイオマス発電

バイオマス発電の中止・廃止

 国内で稼働するバイオマス発電所の総発電出力は2022年時点で690万kWで、政府はこれを2030年度までに800万kWに引き上げる目標を掲げている。
 一般廃棄物発電と産業廃棄物発電の、いわゆる「ごみ発電」による実力は300~400万kWで、政府は残りの400~500万kWを木質と食品・畜産等によるバイオマス発電でまかなう試算を行い、固定価格買取制度(FIT)で新規参入を募った。

 バイオマス発電事業者協会によると、出力:1万kW以上の大型木質バイオマス発電所では、地元の国産材だけでは燃料をまかなえず、輸入材に頼らざるを得ない。しかし、輸入燃料価格の上昇が2020年後半から始まり、ロシアのウクライナ侵攻後の資源価格の高騰や円安が価格高騰に拍車をかけている。

 その結果、大型の木質バイオマス発電所計画の中止・廃止の発表が続いている。木質バイオマス燃料の価格高騰による採算悪化は改善される見込みはなく、調達すらできない状況にあり、今後も輸入燃料を使う大型バイオマス発電所の中止・廃止が続く可能性は高い。 

森林破壊を助長しない規制

 一方、2019年度から経済産業省はパーム油で発電した電力の固定価格買取制度(FIT)の買取条件として、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)認証の取得を要求している。森林破壊児童労働の問題が取り沙汰されるパーム油供給の持続可能性を担保するためである。

 今後、RSPO認証取得の要求以前に確保していたパーム油で発電した電力は、FITで売電できなくなる。先行してパーム油発電を行っていた発電事業者は、認証取得の猶予期限である2022年3月末までに新たな調達契約を結ぶ必要があったが、必要量を確保するのは困難であった。

 このような森林破壊を助長しない規制と燃料費の高騰が、パーム油バイオマス発電からの撤退を引き起こしている。FITによる売電価格で採算が合わなければ、撤退するのが当然の道筋である。このような認証と価格高騰はアブラヤシ殻でも始まっている。 

早急な原点への回帰が必要

 本来、バイオマス発電は地産地消の分散型電源として期待されていた。その本質を無視し、燃料を海外からの輸入材に依存して大型バイオマス発電を稼働させることを、FITにより推進した政府方針に問題があった。その後、森林破壊を助長しない規制などで、参加企業の首を絞めている。

 一方で、欧州の環境NGOや研究者らは、木材を原料とするバイオマス発電は、すべて再生可能エネルギーの枠組から除外すべきだと訴え始めている。
 木材を燃やして出るCO2を回収するには、燃やした木材と同じ量を植林して育てなければ持続可能にはならない。しかし、木材の栽培には数十年を要し、伐採、加工、輸送まで含めたCO2排出量を加算すると、「カーボン・ニュートラル」は成立しないという指摘である。

 重要なのは、バイオマス発電の原点への回帰である。そのためには「国内林業の活性化」が不可欠である。当然のことながら、地道な「ごみ発電」による発電量の増加(回収率向上、設備更新)の努力も忘れてはならない。

 適正なバイオマス発電所は基本的にCO2排出量が実質ゼロとみなされる。将来的にはCCS設備を付帯して大気中のCO2を減らすネガティブ・エミッション発電所としての活躍が期待される。
 バイオエネルギーを使って炭素を回収・貯留するプロセスはBECCS(Bio Energy with Carbon dioxide Capture and Storage)と呼ばれ、脱炭素の有力な手段になる。

図8 シグマパワー有明の三川発電所(5万kW)で進めるBECCS実証試験 
出典:東芝エネルギーシステムズ

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