加速できるのか?原発再稼働(Ⅵ)

原子力

 国内原発の再稼働は、2015年9月の川内1号機に始まり、2025年1月の島根2号機に至るまで、2026年1月現在で14基に達する。そのうち6基は、再稼働直後に不具合を発生し原子炉を停止している。
 問題は再稼働直後のトラブルにとどまらず、その後も多くの原発で初歩的なものも含めてトラブルが多発している。老朽化の影響も無視できない。そのためテロ対策施設の設置期間も含めて、原発の稼働率が2025年時点で34.1%と低迷している。

再稼働直後の原発不具合

 2026年1月現在、国内原発の再稼働は2015年9月川内1号機、2015年11月川内2号機、2016年2月高浜3号機、2016年9月伊方3号機、2017年6月高浜4号機、2018年4月大飯3号機、2018年5月玄海3号機、2018年6月大飯4号機、2018年7月玄海4号機、2021年7月美浜3号機、2023年8月高浜1号機、2023年10月高浜2号機、2024年12月女川2号機2025年1月、島根2号機14基を数える。
 再稼働している14基のうち6基は、再稼働の直後にトラブルを発生して原子炉を停止している。

九州電力川内原発1号機

 2015年8月11日の再稼働後、21日に「復水ポンプ付近」での異常警報により出力上昇を中断した。タービン復水器への海水混入が原因(2次系タービン側)で、環境への放射能漏れはなかった。当初、25日に予定していた100%フル出力運転を延期した。
 その後、2020年3月には、テロ対策施設の設置期限に間に合わず停止する。2026年1月16日には本格運転を再開した。

関西電力高浜原発4号機

 2016年2月29日、再稼働の3日後に送電トラブルで主変圧器の故障が起きたため、原子炉が自動停止した。さらに蒸気発生器の細管が損傷して一次冷却水が漏れる事故火災事故が相次いだため、3号機も含めて運転停止や定期検査の遅延が発生した。
 その後 2023年1月30日、制御棒駆動装置のケーブルの接触不良により、原子炉が自動停止するトラブルが発生し、2025年6月16日からの定期検査で予防保全対策として蒸気発生器一式を取り替え2025年11月に本格運転を再開した。

図1 関西電力高浜原発の3号機(左)と4号機(福井県高浜町 出典:日本経済新聞
関西電力美浜原発3号機

 2021年6月23日、運転期間40年超の老朽原発として国内で初めて再稼働し、7月2日に「タービン動補助給水ポンプ」の流量低下トラブルが発表された。補助給水ポンプのフィルターがサビで目詰まりしていたことが原因とされる。
 その後、2022年8月にボルト締め付け不足による汚染水約7トンの漏れ、2024年10月に海水配管の肉厚減少により手動停止などトラブルが相次ぎ、老朽化と安全対策不備が懸念されている。

九州電力玄海原発3号機

 2018年3月23日、再稼働した直後の30日、2次系タービンの配管からの蒸気漏れトラブルにより緊急停止した。配管の腐食による直径約1cm穴が確認され、放射性物質の外部への漏れはなかったが、営業運転が大幅に遅延した。安全対策の信頼性や、老朽化した配管の長期停止リスクが指摘された。 

東北電力女川原発2号機

 2024年10月29日、再稼働後の11月3日の試験中に炉内中性子計測機器に不具合が発生した。機器を導入する管の接続部ナットの締め付け不足で管が外れたことが原因とされる。東北電力は220カ所以上の同様の箇所を点検し、11月13日に原子炉を再起動して12月に営業運転を再開した。
 しかし、建設中のテロ対策施設の完成時期が2028年8月に延期されたため、2026年12月23日から約20か月間、運転を停止する予定である。

中国電力島根原発2号機

 2024年12月7日、再稼働の5日後に重大事故時に使う水位計に異常があるとして、県などが立ち入り検査したが、実際は運転員の仕様理解不足による誤認であった。
 しかし、2025年2月に原子炉格納容器内の水素・酸素濃度監視設備のモニター故障で取り換え、2025年10月に燃料輸送コンテナの転倒防止措置を怠り、新燃料2体が転倒してケガ人を出すなど初歩的なトラブルが相次いでいる。 

 再稼働直後のトラブルにとどまらず、その後も多くの原発で初歩的なものも含めてトラブルが相次いでいる点は要注意である。老朽化の影響は無視できない。その結果、テロ対策施設の設置期間も含めて、原発の平均稼働率が2025年時点で34.1%と低迷している。
 原発は極めてリスクの高い発電プラントである。そのためテロなど重大事態への対策を整備し、初歩的なものも含めてトラブルを極限まで抑えることが、原発事業者に課せられた責務である。安全対策を優先すること、焦らずじっくりと再稼働を進めることが、原発の信頼回復につながる。

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