非軽水炉型SMRの開発動向について(Ⅵ)

原子力

 国際原子力機関(IAEA)の定義による電気出力:30万kWe以下の小型モジュール炉(SMR:Small Modular Reactor)が、世界で注目を集めている小型高速炉小型軽水炉小型高温ガス炉など様々な炉型がSMRと呼ばれているが、モジュール化により工場内で組み立て、ユニットとして輸送・設置する炉の総称である。

日本

 2023年に三菱重工業が中核企業となり、三菱FBRシステムズのタンク型高速炉が選定された。中型炉(出力:40~65万kWe)を想定し、日本原子力研究開発機構と連携して開発が進められる。

 2022年7月、経済産業省が示した工程表では、小型軽水炉について、2030年代から国内で実証炉の製造・建設を始め、2040年代に運転を開始する目標を掲げる。また、新型炉(高速炉、高温ガス炉、核融合)についても、実証炉の製造・建設・運転について、おおよその目標を示した。
2023年1月、経済産業省と米国エネルギー省(DOE)は、SMRと新型炉の開発・建設などの原子力協力の機会を、各国内および第三国において開拓することを表明した。

 2026年4月、緊迫化する中東情勢を念頭に化石燃料依存からの脱却を図るため、日仏両政府の原子力と核融合のエネルギー協力に関する首脳共同声明が公表された。その内容は、次の①~⑤である。
 ①既存の原子力発電所の長期運転化に向け、人材育成や情報共有などで合意する。
 ②高速炉の実用化を加速し、「今世紀半ばまで」に実証用高速炉の開発を進め③使用済み核燃料再処理工場の稼働に向け、日仏実証研究など核燃料サイクルを推進する
 ④欧州やインド太平洋地域での原発導入支援、⑤建設中のITERなどを通じた開発協力を推進する。 

表5 GX会議で示された次世代原子炉の工程表  出典:経済産業省

東芝の「MoveluX」

 2022年12月、東芝は小型水素化物冷却高温炉「MoveluX(ムーブルクス)Mobile-Very-small reactor for Local Utility in X-mark)」(熱出力:1万kW、電気出力:3000~4000kWe、炉心出口温度:700℃以上)の開発を発表。水素化カルシウム(CaH2)を原子炉冷却材と中性子減速材に用いる。

 冷却機構は電源を必要としないナトリウム・ヒートパイプを採用し、事故時にポンプなしで自然循環により炉心を冷却して安全性を高める。また、原子炉容器(高さ6m×直径2.5m)をコンクリート製の地下室に設置し、発電設備を地上に置き、燃料交換なしで約20年間稼働させる。主要部品はコンテナ2個分の体積に収める。

図13 小型水素化物冷却高温炉「MoveluX™」
出典:東芝

三菱重工業の「全固体原子炉

 2022年4月、トラックで運べる超小型の全固体原子炉(マイクロ炉、熱出力:1000kW、電気出力:500kWe)を、2030年代に商用化する。船舶への動力供給や災害地域での分散型電源として有効で、地下設置も容易で事故耐性に優れており、建設費は数十億円/基を想定している。

 真空二重構造のカプセル型格納容器には、直径1m×長さ2mの炉心(ウラン濃縮度20%を上限とするHALEU燃料を蜂の巣状に埋め込んだ黒鉛の燃料積層体)、核分裂熱を抽出する高熱伝導黒鉛体と伝熱管、中性子吸収材による核分裂反応の制御ドラムと非常用制御棒が内在し、不活性ガスが満たされて密閉している。

 伝熱管にはCO2が満たされており、最高850℃に加熱されたCO2を格納容器外に取り出して、タービンを回して発電する。マイクロ炉は燃料交換なしで25年前後運転し、その後、格納容器ごと回収して廃棄する。

図14 トラックで運べる大きさの超小型原子炉 
出典:三菱重工業

 その他、高温ガス炉(HTTR)使い三菱重工業はガスタービン発電システム、東芝・富士電機は蒸気タービン発電システム、また、小型ナトリウム冷却高速炉の開発を三菱重工業が公表している。

表6 日本で開発中の小型軽水炉と新型炉

コメント

タイトルとURLをコピーしました