福島第一原発の処理水海洋放出(Ⅳ)

原子力

 東京電力は、ALPS処理水の海洋放出を行う際には、トリチウム以外の放射性物質の濃度が国の基準を満たすまで再浄化処理(二次処理)を行い、トリチウムの規制基準を十分に満たすよう海水で希釈して海洋放出すると公表している。政府には、処理水の海洋放出に関して風評被害を最小とする責務がある。

ALPS処理水の海洋放出

 東京電力は、ALPS処理水の海洋放出を行う際には、トリチウム以外の放射性物質の濃度が国の基準を満たすまで再浄化処理(二次処理)を行い、トリチウムの規制基準を十分に満たすよう海水で希釈して海洋放出すると公表している。

海洋放出の対策

二次処理設備】ALPSは汚染水に含まれる62種類の放射性物質を、国の基準以下の濃度に低減する浄化能力を有している。しかし、設備の不具合等により基準を満たしていない処理水も貯蔵されており、これについては再浄化処理 (二次処理)を行う

測定・確認用設備】ALPS処理水に含まれるトリチウム、62種類の放射性物質、炭素14を希釈前に測定(第三者機関による測定を含む)し、それぞれが環境への放出に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化されていることを確認する。

 【希釈設備】海水希釈後のトリチウム濃度が規定の1500ベクレル/L未満となるよう、100倍以上の海水で希釈する。年間トリチウム放出量は22兆ベクレルを下回る水準とする。放出中は毎日サンプリングし、トリチウム濃度が1500ベクレル/Lを下回ることを確認し、速やかに公表する。

取水・放水設備】港湾内の放射性物質の影響を避けるため、港湾外からの取水とする。また、放出した水が取水した海水に再循環することを抑制するため、海底トンネル(約1km)を経由して放出する。

緊急遮断弁】希釈用の海水ポンプが停止した場合、緊急遮断弁を速やかに閉じて放出を停止。海域モニタリングで異常値が確認された場合も、一旦放出を停止する。津波対策の観点から防潮堤内に1台、放出量最小化の観点から希釈海水と混合する手前に1台を設置する。

図8 ALPS処理水は再浄化処理を施しトリチウムの規制基準を十分に満たすよう海水で希釈して海洋放出

 廃炉作業はすでに始まっているが、40年かかる可能性があるとされる。燃料デブリを完全に取り出すまで、現状では90トン/日の汚染水が発生し続けるのである。このタイミングでなくても、いずれ処理水の処分を行わざるを得ない時がくる。
 しかし、政府が「ロシアのウクライナ侵攻」や「中国の覇権的動き」を非難しているこの時期に、処理水の海洋放出を強行すれば、隣国からの風評被害は間違いなく強まるであろう。

廃炉に向けた敷地再編

 東京電力は福島第一原発(約350万m2)の廃炉に向けて、敷地北側を廃棄物を処理・保管するために活用するエリアとし、敷地南側には多核種除去設備等処理水を貯蔵するタンクや使用済燃料・燃料デブリの一時保管施設に活用するエリアへと敷地の再編を検討している。

 今後、廃炉が進めば瓦礫類(金属、コンクリート)、汚染土、水処理二次廃棄物などが大量に出てくる。そのため廃棄物を減容化処理する設備と安全に保管する建屋が必要である。一方、90トン/日の汚染水の浄化処理は継続され、タンクによる保管継続される

 さらに重要なのは、使用済み燃料プールで保管されていた膨大な量の燃料炉心から取り出された燃料デブリの一時保管施設の設置であり、約8.1万㎡の土地が必要と試算されている。一時保管施設としているが、最終処分場の見通しが立っていないため、いつまで一時保管するか未定である。 

図9 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた敷地再編

コメント

  1. 瀬川 昌博 より:

    https://www.decarbonation-tech.com/nuclear_2/ では、汚染水は100t/日としている。
    https://www.decarbonation-tech.com/nuclear_6/ では、汚染水は90t/日だ。

    100tなのか90tなのか90~100tなのか、100t前後やおよそ100tなのか。
    記事を作成した時期が違うのか、人が違うのかわかりませんが、数値は統一またはその数量の日付を入れるなどして貰いたいものだ

    • コメントありがとうございます。
      BBCニュースの記載関連を「およそ100トン」と修正いたしました。
      また、現在、国内では、90トンの記載が一般的なようです。
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