太陽光パネルメーカーの動向(Ⅲ)

再エネ
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 中国メーカーによる太陽光パネルの供給過剰が続けば、低コスト化が加速され、太陽光発電の導入が継続されることは間違いない。しかし、日本を始めとした欧米・東南アジアの競合メーカーは、価格競争に負けて撤退が加速されることも間違いない。
 そのため、中国が世界の太陽光サプライチェーンを支配することに脅威を感じる国々は、何らかの対策を講じることになる。欧米において対策が始まっているが、日本は未だに手を打っていない!

中国製太陽光パネルの生産量拡大

 世界の太陽光パネルの生産量は中国メーカー各社が増産したことで、2021年は前年比36%増の242GWに増加、全生産量の75%が中国(182GW)で生産された。一桁小さくなるが、ベトナム、マレーシア、韓国、インドなどでの生産量も増加傾向にある。

図3 世界の太陽電池モジュールの生産量推移(国・地域別) 出典:NEDO

 2022年7月、国際エネルギー機関(IEA)は太陽光パネルの主要製造段階での中国シェアが8割を超えると発表。2021年にはポリシリコンの世界生産能力の79%を占め、その42%は新疆ウイグル自治区にある。主要素材のポリシリコンやウエハーは、今後数年で中国シェアが95%になる。
 その結果、中国で火災や自然災害が発生すれば世界への供給が滞るほか、価格上昇につながる可能性があり、中国と西側諸国の対立が深まれば輸出が止まるリスクもある。今後、生産地の多様化を進める必要性をIEAは訴えた。

 2023年6月、米国SPVマーケットリサーチ(SPV Market Research)の最新レポート「ソーラーフレア(Solar Flare)」によると、2022年の全世界における太陽光パネルの出荷量は、結晶シリコン系と薄膜系を合わせ、前年比46%増の283GW(2.83憶kW)に大きく拡大した。
 2012年~2022年に、全世界での太陽光パネルの出荷量は、年平均成長率(CAGR)27%で増加してきた。また、1975年~2022年に、全世界の累積太陽光パネルの出荷量は1.2TW(テラワット)に達した。 

図4 世界の太陽光パネルの出荷量の推移 
出典:SPV Market Research

 2022年のメーカー別市場シェアは、SPVマーケットリサーチのデータによると、1位は中国・通威集団傘下のシリコン系太陽電池メーカーである通威太陽能(Tongwei Solar)でシェアは14%である。
 2位は中国JAソーラー(JA Solar)で、3位は中国のアイコ・ソーラー・エナジー(Aiko Solar・愛旭太陽能科技)、4位は中国・隆基緑能科技(Longi)、5位は中国・ 晶科能源(Jinko Solar)で、上位5社の合計は総出荷量の56%に達し、6位から9位も中国メーカーが占める。
 中国が全世界出荷量の71%を占め、2位はマレーシア、3位はベトナム。10位にはCdTeの金属化合物系太陽光パネルで世界トップの米国ファースト・ソーラーが入っている。

  2023年11月、エネルギー調査会社ウッド・マッキンゼーは、2026年にかけて中国が太陽光発電設備の世界シェアの8割超に達する見通しを示した。中国が世界の太陽光サプライチェーン(供給網)を支配し、競合との技術と価格の差を広げることに、懸念の声が広がっている。
 レポートでは、今年、中国は太陽光発電産業に1300億ドル超を投資し、2024年には発電容量が1TWを超える太陽光パネルを生産し、2032年まで毎年の世界需要を十分満たすことができる。中国の生産能力拡大の影響で、太陽光パネルの価格は今年に入り劇的に下落している。

 2024年2月、日経クロステックは、中国太陽光メーカーの驚異的な設備投資で太陽光パネルの価格低下が今後も続くと報じた。エネルギー・資源価格の高騰、世界的なインフレにより、風力発電が価格上昇に転じたが、中国メーカーによる供給過剰は継続している。
 2023年11月の米国ブルームバーグの予測では、2023年の世界の太陽光パネル導入量は413GWと急速な拡大が見込まれている。一方、2022年末で生産能力は約600GWに上り、2023年第1四半期までの計画を含めると生産能力は約2倍になり、需要をはるかに上回っている。

 中国メーカーによる太陽光パネルの供給過剰が続けば、太陽光発電の導入が加速される。それにより、日本を始めとした欧米・東南アジアの競合メーカーは、価格競争に負けて撤退が加速される。そのため、中国が世界の太陽光サプライチェーンを支配することに脅威を感じる国々は、何らかの対策が必要である。
 既に、米国はインフレ削減法(IRA:Inflation Reduction Act of 2022)で、太陽光発電や蓄電池の生産拡大を図り、北米域内での生産活動の支援を進めている。欧州も、太陽光発電やEV(蓄電池)に関して、中国のダンピング(不当廉売)調査を進めている。日本はいつ手を打つのか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました