電気自動車(EV)の販売動向

自動車

 2022年の世界の乗用車用プラグイン電気自動車(BEV+PHEV)の販売台数は、前年比55%増の1,020万台に達した。また、世界主要62カ国・地域で販売された2022年の電気自動車(BEV)の販売台数は前年比70%増の726万台で、着実にEVシフトは進んでいる。
 一方、国内では軽自動車を軸にBEVが急増し、2022年のBEV販売台数は前年度比3.1倍の7.72万台に増えた。しかし、BEVが乗用車全体に占める割合は2.1%(前年度は0.72%)に留まり、20%に迫る中国や欧州に比べて、国内でのBEV普及は遅れている。

2021年のメーカー別EV販売台数

 2021年の世界の乗用車用プラグイン電気自動車(BEV+PHEV)の販売台数は、調査会社マークラインズによれば、前年比108%増で650万台に達した。
 また、世界主要62カ国・地域で販売された2021年の電気自動車(BEV)の販売台数前年比49.3%増の448万台であり、メーカー別にシェアを集計した結果を次に示す。

図1 2021年の電気自動車(EV)販売台数をメーカー別に集計

電気自動車(BEV)の販売台数のメーカー別ランキング首位はテスラで、販売台数は93.62万台で、シェアは20.9%である。
〇2位の上海汽車集団(SAIC)は59.6万台で、シェアは13.3%である。
〇3位のフォルクスワーゲングループは45.2万台で、シェア10.1%である。

 特徴的なのは、上位20位以内に中国メーカーが12社(上海汽車、BYD、長城汽車、広州汽車、浙江吉利控股、奇瑞汽車、小鵬汽車、長安汽車、上海蔚来汽車、東風汽車、合衆新能源、威馬汽車)入り、総販売台数184.8万台で、シェア41.3%に達している。

 上位20位以内の米国メーカーは2社(テスラ、フォードモーター)で総販売台数99.1万台、シェア22.1%であるが、これにゼネラル・モーターズ(GM)が上海汽車集団との合弁で販売している分が加算される。

 上位20位以内のドイツメーカーは3社(フォルクスワーゲン、BMW、メルセデス・ベンツ)で総販売台数66.1万台、シェア14.7%である。

 残念ながら、日本は5位の日産・ルノー・三菱自動車連合が総販売台数24.8万台で、シェア5.5%である。27位の本田技研工業と29位のトヨタ自動車の販売台数を加えても27.7万台で、シェア6.2%と低迷している。

2022年のメーカー別EV販売台数

 2022年の世界の乗用車用プラグイン電気自動車(BEV+PHEV)の販売台数は、調査会社マークラインズのデータによると、前年比55%増の1,020万台に達した。
 また、世界主要62カ国・地域で販売された2022年の電気自動車(BEV)の販売台数は前年比70%増の726万台で、メーカー別シェアを次に示す。

図2 2022年の電気自動車(EV)販売台数をメーカー別に集計

電気自動車(BEV)の販売台数のメーカー別ランキング首位はテスラで、販売台数は126.8万台と増加したが、シェアは17.5%と減少した。
〇2位には前年4位の中国BYDが32万台→86.8万台に急増し、シェアは12.0%に達した。上位10位以内の中国メーカーの総販売台数は172.4万台、シェア23.8%である。
〇3位のGMグループ(上海汽車を含む)は70.4万台で、シェア9.7%である。

 日本勢は日産自動車・三菱自動車・仏ルノーの3社連合が、28.3万台(シェア3.9%)で7位に入ったが、26位本田技研工業の2.7万台(0.4%)、27位トヨタ自動車グループの2万台(0.3%)を加えても、総販売台数33万台、シェア4.5%で、BEV市場での出遅れは顕著である

 2022年のガソリン車を含む自動車の世界市場(販売台数:7621万台)のうち、BEVの占める割合は9.5%に達しており、2021年の5.5%と比較して存在感が明確になってきた。
 2022年のBEV販売台数は前年比70%増の726万台であるが、BEVを除くガソリン車などの新車販売は前年比7.4%減の約6895万台であり、世界的に見て着実にEVシフトが進んでいる

 一方、国・地域別でみると、2022年のBEV販売台数は首位の中国で急拡大し約453万台(シェア62.3%)で市場を牽引した。2位のドイツや英国を含む西欧も約153万台(シェア21.1%)と増加したが、3位の米国では約80万台(シェア11.0%)と低調であった。

 ところで、国内では軽自動車を軸にBEVが急増し、2022年度のBEV販売台数は前年度比3.1倍の7.72万台に達した。しかし、BEVが乗用車全体に占める割合は2.1%(前年度は0.72%)に留まり、20%に迫る中国や欧州に比べ、国内でのBEVの普及は明らかに遅れている。

 今回、普通車EV(排気量660cc超)の販売台数は前年度比47%増の3.55万台であったが、軽自動車EVは前年度比48.4倍の4.16万台で、BEV販売に占める割合が3.4%→54%と急増した。
 2022年6月に発売された日産自動車の「サクラ」と三菱自動車の「eKクロスEV」の軽自動車EVは、蓄電池容量:20kWh、航続距離:180kmで、コストを標準タイプで254万円と239.8万円に抑えている。多様な顧客ニーズに合わせたラインアップが重要であることが再認識された。

図3 日産自動車の軽EV「サクラ」

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