航空機用構造材料の変革(Ⅱ)

航空機

 米国ボーイングの中型ワイドボディ機B787では機体材料に占めるアルミニウム合金の重量比が20%に減少し、複合材料(CFRP、GFRPなど)の重量比が50%に高まった。欧州エアバスの中型ワイドボディ機A350XWB機ではアルミニウム合金の重量比が21%に減少し、CFRPの重量比53%に高まった。

 航空機の機体材料

ボーイング787

 米国ボーイングの747、767、777では機体材料の70~80%を占めていたアルミニウム合金の使用比率が、最新のB787(Boeing 787 Dreamliner)では20%に減少し、複合材料(CFRP、GFRPなど)の使用比率が50%にまで高まった
 炭素繊維は同じ強度で比較すると重量は鋼の1/4程度で済み、ボーイング787はCFRPを多く使うことで、従来機より燃費性能が2割向上した。

図2 ボーイング787機の構造材料の構成
出典:炭素繊維協会

 2011年から就航した長距離用中型のワイドボディ機B787(全幅:60m、全長:57m、全高:17m)には、Trent1000もしくはGEnxエンジンが搭載されており、図2のように機体へのCFRP適用が重量比で50%に達している
 機体材料の重量比20%を占めるアルミニウム合金は、新たにアルミニウム・リチウム合金(Al-Li合金、2098-T8)の板材が適用されている。機体材料の15%を占めるチタン合金については、主要部品である主脚(ランディングギア)にTi-5Al-5Mo-5V-3Cr 合金が用いられている

 2023年に就航予定の大型旅客機であるボーイング777X(全長:69.79m(777-8機)、76.72m(777-9機))には、GE9X エンジンが搭載されており、CFRP製の主翼が採用されている。
 この主翼は折りたたみ式のウィングチップが採用され、駐機時は折りたたみ(翼幅:64.82m)、飛行時には7m長くなるよう展開(71.75m)し、大きな揚力を発生させ燃費効率を最大化している。
 また、アルミニウム合金には、銀(Ag)が添加された2029-T8 クラッド材やAl-Li 合金(2098-T84) 板材および2055-T84 押出材などが適用されている。

エアバス380

 欧州エアバスでも複合材料(CFRP、GFRPなど)の使用比率は増加する傾向にあり、エアバス320で15%、A380では 22%と増加し、最新のワイドボディ機A350XWB(Airbus A350 eXtra Wide Body))では、図3に示すように53%に達している

図3 エアバスA350 XWBで使用される構造材料
出典: Science China Technological Sciences
60-9,(2017)、1301-1317.

 2007年就航の超大型ワイドボディ機のエアバス380(全長:72.7 m、全幅:79.8 m、全高:24.1 m)には、エンジン・アライアンス GP7200もしくはロールス・ロイス Trent900エンジンが搭載され、中央翼、水平・垂直尾翼など1次構造部材へのCFRP適用が30トンを超え、重量比で22%に達した。
 重量比で61%のアルミニウム合金は、主翼桁材に7040-T7651合金、リブ材に7449-T7651合金、主翼下面ストリンガにZr添加2027-T3511合金、主翼上面外板材に7056-T7951合金が使用された。
 また、Al-Li合金はメインデッキ、クロスビーム、床、ストリンガに2099-T83、2196-T8511押出材、主翼の桁やリブなどの内部構造に、2050-T84 厚板が採用された。しかし、2019年2月、販売不振によりA380機は、2021年以降の生産打ち切りが発表された。

 2015年に就航した中型ワイドボディ機のA350XWB(全長:66.8m(350XWB-900)、73.79m(350XWB-1000)、全幅:64.75m、全高:17.5(350XWB-900)、17.8m(350XWB-1000))には、ロールス・ロイス製Trent XWBエンジンが搭載された。
 重量比で53%にCFRPは主翼、中央翼とキールビーム、テールコーン、スキンパネル、フレーム、ストリンガー、ダブラーなどに採用されている。重量比で21%を占めるアルミニウム合金は、バードストライク対策のため衝撃に弱いCFRP に代わり、コックピット周辺や主翼の前縁などに用いられている。
 また、Al-Li 合金は、2198-T851 板材の成形品、主翼ボックスのリブなどに2050-T84 厚板、中央ビームに2050-T852 鍛造材が使用されている。重量比で14%を占めるチタン合金は、高荷重フレーム、ドア周辺、ランディングギア、パイロに用いられている。

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