バイオエタノールの導入目標

自動車

 バイオエタノールは、気候変動枠組条約では「カーボンニュートラル」として位置づけられており、使用時にCO2排出量には計上されない。そのため自動車用ガソリンの代替燃料としてバイオエタノールを使用できれば、CO2排出量の削減につながる。

 国内では、2009年6月には「バイオマス活用推進基本法」が制定され、2010年12月に「バイオマス活用推進基本計画」が閣議決定された。また、2009年7月には「エネルギー供給構造高度化法」が成立し、バイオエタノールの利用目標量が設定されている。

 2011年度の21万kℓ(原油換算)に始まり、2017年度には50万kℓまで増産する目標量が設定され、2016年2月時点で約3,240カ所のサービスステーションでバイオエタノール混合ガソリンが販売されている。ほとんどはブラジルからの輸入で、50万kℓは国内需要量(5,000万kℓ)の約1%に過ぎない。(国研)国立環境研究所、環境技術解説―バイオエタノールー、https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=6

 国内では自動車用バイオ燃料の活用は十分には進められていないのが現状である。バイオ燃料の普及に向けて、障壁となっているのは経済性である。国内のバイオエタノール製造事業者は規模が小さく、製造コストが高止まり傾向にあるため、補助金で販売コストを抑えているのが現状である。

 現在、米国ではトウモロコシ、ブラジルではサトウキビ、欧州では麦などを原料として作られる第一世代のバイオエタノールがバイオ燃料の主流となっている。しかし、原料が食料と競合する問題が指摘されて久しい。

 そのため産業廃棄物やセルロース(植物の繊維)を原料とする第二世代のバイオエタノールが検討されている。しかし、セルロースを分解して糖分を抽出する前処理工程が必要であり、使用する分解酵素が高価であるために高コストとなる。

 その後、微細藻類を利用した第三世代のバイオ燃料が検討されている。トウモロコシなどと比べて桁違いに生産効率が高い特長が注目されているが、低コスト化が大きな課題である。

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