2021年末時点で、国内で販売されている主要メーカーのEVバイクの機種は多くはない。本田技研工業が「PCX ELECTRIC」(2022年5月生産終了モデル)のリースのみと法人向け「BENLY e」シリーズを販売するほか、ヤマハ発動機が一般向けに「 E-Vino」などを販売している。
各社の一般バイクのラインナップ全体から見れば、ごくわずかなのが現状である。四輪自動車において、ここ数年で急激にEVシフトが進み始めているのとは対照的である。2021年における国内バイク販売台数は約37.8万台で、その内EVバイクは数千台に留まっている。
電動バイク(EVバイク)の業界動向
EVバイクの現状
電動バイク(BEバイク)は、搭載する蓄電池の定格出力から0.6kW未満(50cc原付一種)、0.6kW~1.0kW未満(125cc原付二種)、1.0kW以上(400cc普通二輪免許)に分類される。
2021年末時点で、国内で販売されている主要メーカーのEVバイクの機種は多くはない。本田技研工業が「PCX ELECTRIC」(2022年5月生産終了モデル)のリースのみと法人向け「BENLY e」シリーズを販売するほか、ヤマハ発動機が一般向けに「 E-Vino」などを販売している。
2019年12月に発売されたBENLY e: Ⅰは、重量:125kg、定格出力:0.58kW、航続距離:87km、価格:73.7万円(税込)で、2020年9月に発売されたE-Vinoは、重量:68kg、定格出力:0.58kW、航続距離:32km、31.46万円(税込)で、いずれも原付第一種のEVスクーターである。
各社の一般バイクのラインナップ全体から見れば、ごくわずかなのが現状である。四輪自動車において、ここ数年で急激にEVシフトが進み始めているのとは対照的である。2021年における国内バイク販売台数は約37.8万台で、その内EVバイクは数千台に留まっている。
すなわち、EVバイクの実用化には四輪自動車とは異なる難しさがある。これは市販EVバイクの航続距離が50km前後と短いことから読み取れる。一般バイク並みの航続距離を実現するためには大容量蓄電池の搭載が必要であるが、スペース的にも重量的にも二輪車では許容できないのである。
交換式バッテリーの共用化
2019年4月、本田技研工業・ヤマハ発動機・カワサキモータース・スズキの二輪車4メーカーが「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」を発足し、交換式バッテリーの共用化を進めている。
各メーカーのEVバイクに搭載するバッテリーを共通の交換式にすれば、残量がなくなった際に交換ステーションなどに設置したフル充電バッテリーと交換することで、航続距離が短いことや充電時間が長いなどの課題を解決できる。
2021年3月、二輪大手4社は着脱式バッテリーの仕様統一で合意した。しかし、共通仕様の電池を搭載するバイクは、本田技研工業の「ベンリーeシリーズ」など法人向け3車種のみで、首都圏で2000台以上が稼働している。
2022年4月、ENEOSホールディングスと本田技研工業・カワサキモータース・スズキ・ヤマハ発動機は、共通仕様バッテリーを搭載するEVバイクを使ったシェアリングサービスや、EVバイク普及に向けインフラ整備などを行う新会社のGachaco(ガチャコ)を設立した。
2022年秋をメドに、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」を利用したシェアリングサービスを東京などの大都市圏から開始すると発表した。
2022年10月、本田技研工業は、EVバイク向けに手動の電池交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:」(全幅960×全高1820×奥行758mm)の販売を開始した。電池シェアリング事業のガチャコに納品され、1台目が東京都庁傍の西新宿第四駐車場で稼働を開始した。
本機は3相3線200Vの電源で定格消費電力:6.5kW、1台に12個の着脱式可搬電池「Honda Mobile Power Pack」の同時充電が可能である。災害などの停電で本機への給電が途絶えても、充電済み電池から給電されるので電池の貸し出しは継続できる。交換に要する時間は1分程度である。
ガチャコは、駅前やガソリンスタンドにバッテリー交換ステーションを設け、充電済み電池と使用済み電池の交換サービスを提供する。首都圏で始め、2022年度は200台分、2023年度に1000台分の拠点を整備し、当面は配達業者などの商用EVバイクを対象に始める。
2023年5月時点で、東京、埼玉、大阪で合計24カ所のステーションが設置されている。
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