2010年代のFCEVとBEVの開発競争(Ⅸ)

自動車

電動バイク(BEバイク)

 電動バイク(BEバイク)は原付扱いとなり、搭載する蓄電池の定格出力から0.6kW未満(50cc原付一種)、0.6kW~1.0kW未満(125cc原付二種)、1.0kW以上(250cc普通二輪免許)に分類される。

 BEバイクは国内大手バイクメーカーのヤマハ発動機が一般向けにYAMAHA E-Vino(図8参照)、本田技研工業がビジネス用電動二輪車「BENLY e」シリーズを法人向けに販売するほか、多くの海外メーカーや新興メーカーが様々な機種を販売している。

 一方で、興味深い取り組みがBEバイクで始まっている。
 2022年3月、ENEOSホールディングス本田技研工業・カワサキモータース・スズキ・ヤマハ発動機は、BEバイク普及に向けた合弁会社である(株)Gachaco(ガチャコ)を同年4月に設立した。

 新会社は、駅前やガソリンスタンドに「バッテリー交換ステーション」を設け、充電済みの電池と使用した電池の交換サービスを提供する。首都圏で始め、2022年度は200台分、2023年度には1000台分の需要をまかなえる拠点を整備する。当面は配達業者などの商用BEバイクを対象に始める。

 二輪大手4社は、2021年3月に着脱式バッテリーの仕様統一で合意したが、共通仕様の蓄電池を搭載できるバイクは、現時点で本田技研工業「BENLY e」シリーズの法人向け3車種のみである。

 繰返し使用で劣化した蓄電池を回収し、リサイクルする仕組みもつくる方針が示されているが、2021年における国内バイク販売台数は約37万8000台で、その内BEバイクは数千台に留まっている。今後のBEバイクの利用拡大が望まれる。

図8 ヤマハ発動器、YAMAHA E-Vino

電動バス(BEバス)

 バスなどの大型車には電動バス(BEバス)よりもFCバスが適しているとして、経済産業省などが2017年に発表した水素基本戦略では「FCバスは2020年度までに100 台程度、2030 年度までに1200台程度の導入」の目標を掲げた。

 しかし、世界市場ではFCバスではなく、電動バス(BEバス)が席巻している。国際エネルギー機関(IEA)によると、2021年に販売されたBEバスは約9万台で中国と欧州が先行導入している。2030年には300万~500万台に増加し、バス全体の16%ほどを占めると予想している。

 製造・供給で優位に立つのは比亜迪(BYD)などの中国メーカーで、低価格と技術力で圧倒している。2019年3月、国内バス市場には中国の大手EVメーカーである比亜迪(BYD)の日本法人ビーワイディージャパンが、リン酸鉄リチウムイオン電池を搭載した4車種を市場投入している。

 BYDは世界でBEバス5万台以上を普及させ、シェアを拡大している。小型バスJ6(車長:6.99m、最大乗車定員:31名、航続距離≥150km、電池容量:105.6kWh)から、図9に示す大型バスK8(車長:10.5m、最大乗車定員:81名、航続距離:220km、電池容量:287kWh)などである。

 2021年6月には、日野自動車が、BYDから小型BEバスJ6についてOEM供給を受け、小型BEバス「ポンチョ ZEV」の販売を2022年に行うと公表している。自前の開発を待たずに、BEバスを市場投入するだけの需要の高まりを認識したのであろう。

図9 BYDの大型電気(BEV)バスK8

 2022年2月、いすゞ自動車と日野自動車は、2024年に電気自動車(BEV)の大型路線バス生産を始めると発表した。両社が折半出資するジェイ・バス(株)が生産し、いすゞ自動車が車両の開発を担う。いすゞ自動車の大型路線バス「エルガ」、日野自動車の「ブルーリボン」についてBEバスのラインアップを追加する計画である。
 一方で、同日、このBEバスをベースにして、いすゞ自動車と日野自動車は、トヨタ自動車のFCVシステムを活用してFCバスの開発を検討することも発表している。本音は需要の高いBEVバスへのシフトであり、FCバスの開発は建前であろうか?

 国内のBEバス導入補助金は、ハイブリッド車を除くと補助対象8機種のうち7機種が中国製である。日本製は北九州市EVモーターズ・ジャパンの小型BEバス「F8 series-4 Mini Bus」(車長:6.99m、乗車定員:29名、航続距離:290km)であるが、中国に製造を委託している。

 2021年12月、京都市では京阪バスが市内循環バスに4台のBEバスを導入したが、BYD製である。2022年4月、大阪府でも阪急バスがBYD製のBEバス2台を路線に投入している。日本メーカーはBEバスを量産化できず、自治体などが脱炭素に向けて中国製を選ばざるを得ないのが現状である。

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