2000年代から太陽光発電搭載船の開発は進められてきた。しかし、現状の太陽光パネルの性能では十分な電力が得られないため、照明など船内電源の利用の域を出ていない。本格的な太陽光発電搭載船の実用化のためには、高効率で安価なパネルの供給が不可欠である。
太陽光発電搭載船
2008年4月、日本郵船は「NYK クール・アース・プロジェクト」で様々な環境対策に着手した。
その一環で2008年12月、本格的な太陽光発電装置(出力:40kW、出力電圧:440V、太陽光パネル:328枚)を搭載した自動車運搬船「AURIGA LEADER」(全長199.99m、全幅32.26m、水深34.52m、重量トン数:18758トン/総トン数:60213トン、三菱重工業製)を竣工させた。
太陽光発電で得られた電力は、直流/交流変換機により船内ディーゼル発電機(定格電圧:440V)と連系した電源とした。また、塩害、振動、風圧などへの対策検討を、陸上で実績のある5種類の太陽光パネルを搭載して実施し、太陽光発電装置の出力平滑化用の蓄電池の重要性を明らかにした。
2012年6月、商船三井は太陽光発電搭載の自動車運搬船「EMERALD ACE(エメラルドエース)」(全長199.99m、全幅32.26m、深さ21.25m、重量トン数:18334トン)の竣工を発表した。停泊中にディーゼル発電機を停止し、太陽光発電でまかなうことでCO2排出量削減を目指した。
商船三井、三菱重工業、パナソニックエナジーが開発した太陽光発電システム(面積:1000m2、パナソニックのHIT太陽光パネル:768枚、容量:160kW)と、蓄電システム(LIB312本のモジュールを1,040個搭載、総容量:約2.2MWh)を組み合わせたハイブリッド電力給電システムを搭載した。
川崎汽船は、高い省エネルギー性能と環境保全性能を両立する次世代船舶の実用化に向け「DRIVE GREEN PROJECT」を進めており、2016年2月、ジャパン マリンユナイテッドが「DRIVE GREEN HIGHWAY」を竣工した。
川崎重工業製の低NOxエンジン、三菱重工業と三菱化工機が共同開発したSOxスクラバーを採用し、甲板部分に912枚のソーラーフロンティア製CIS薄膜太陽光パネル(総出力:約150kW)を設置し、甲板用LED照明の電力を全てまかなう。
エコマリンパワーは、船上に硬帆(EnergySail)を多数立て、その表面に太陽光パネル(または風力発電装置)を張付ける船舶用再生可能エネルギーソリューション「Aquarius MRE」を開発した。寺本鉄工所が製造し、各種センサーの取り付けや自動制御が可能で電力を蓄電池に蓄えて運航に利用する。
2020年4月、LR2型タンカーへのAquarius MRE設置に向けたフィージビリティ・スタディを開始し、2021年5月、日本海事協会(ClassNK)の基本承認(AiP)を取得した。
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