国際線 CO2 排出:2050年に実質ゼロ

航空機

 航空業界においてもCO2排出抑制の動きが活発化しており、世界的に持続可能な航空燃料(SAF)への取り組みを加速する仕組み作りが始まっている。国内でも第三次バイオマス活用推進基本計画が閣議決定され、SAFの社会実装に向けて動き始めた。

ICAOのCO2排出抑制方針の見直し

 2022年9月、カナダ・モントリオールで開催された国連の専門機関・国際民間航空機関(ICAO)の総会で、国際線の航空機が排出する二酸化炭素(CO2)を2050年に実質ゼロとする目標が採択された。20203年まで2019年の排出量を上限とし、2024年以降は上限を2019年比で85%に引き下げる。

 当面、この目標は加盟国(2022年6月現在で193か国)の努力目標とするが、85%を上限とする目標は2027年以降に原則義務化する方針である。CO2排出権の購入費用など航空会社の負担増は避けられない見込みで、政府試算では国内航空会社の合計額は2035年に数百億円/年まで膨らむと想定される。

 同年8月のICAO理事会で「2050年実質ゼロ」を長期目標に掲げる原案が承認され、総会での採択が固まった結果である。 

バイオマス活用推進基本計画の見直し

 2022年9月、新たな「バイオマス活用推進基本計画」(第三次)が閣議決定された。特筆されるのは、航空分野における脱炭素化の取組に寄与する持続可能な航空燃料(SAF : Sustainable Aviation Fuel)の社会実装に向けた取組の推進である。

4.脱炭素化を促進する技術の研究開発
 航空分野における脱炭素化の取組に寄与する持続可能な航空燃料(SAF)の社会実装に向け、HEFA(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids)技術、ATJ(Alcohol to Jet)技術、多様な原料利用の可能性があるガス化・FT(FischerTropsch process)合成技術、カーボンリサイクル技術を活用した微細藻類の大量培養技術等の技術開発及び実証を加速させる必要がある。加えて、食料や飼料用原料等の既にある需要先の安定供給を行いつつ、廃食用油、古紙、木くず等の国内における持続可能な航空燃料(SAF)の原料を安定的に確保するためのサプライチェーンの構築を推進する。

バイオマス活用推進基本計画(第三次)p.20より

 2022年9月には、経済産業省はCO2と水素を合成した液体燃料「e-fuel(イーフューエル)」の活用を目指す官民協議会を設置し、経済産業省や国土交通省、石油連盟、日本自動車工業会などの業界団体が参加して初会合が開かれた。

 e-fuelとは、原料として工場などから出るCO2を回収して水素と合成する液体燃料であり、化石燃料の代替燃料として、自動車や航空機、船舶などへの活用が期待されている。協議会では、実用化に向けたスケジュールやCO2の削減効果の評価手法などについて検討が行われる。 

 実際に、e-fuelの製造コストは300〜700円/Lと試算されており、低コスト化が大きな課題である。協議会では、想定される今後の需要量を推計し、企業が開発や導入のためにどれだけの投資が必要になるかを把握できるようにする。

コメント

タイトルとURLをコピーしました