2020年代におけるBEVシフト(Ⅳ)

自動車

欧州メーカーの動向

フォルクスワーゲン(VW)

 2021年に45万2000台を販売したVWであるが、全生産車に占めるBEV比率は5%と低い。既に、小型BEVの「e-ゴルフ」「Passat」「Passat Variant」(480~550万円)を販売している。

 2022年にBEVの世界戦略車「ID.4」、2024年に「ワーゲンバス」のBEV版「ID.BUZZ」、2026年には新型の多目的スポーツ車(SUV)を生産する計画を公表し、メキシコの2工場はBEV組立工場と電気モーターなどのBEV部品工場に刷新する。

 2022年3月、2030年までに北米向けに71億ドルを投資し、市場拡大を目指すと発表した。現在、北米では蓄電池を韓国SKイノベーションから調達しているが、北米でのBEVや部品生産を拡大し、2030年に北米での新車販売に占めるEV比率55%を目指す。
 そのためガソリン車の品ぞろえを段階的に減らし、2030年代初めに全ての販売を中止し、2030年に25車種以上のBEVを北米市場でそろえる計画である。 

メルセデス・ベンツグループ

 2022年7月には、新型BEV「EQB」の発売を公表している。最大7人乗りのSUVで、航続距離:最大520km、大容量蓄電池:66.5kWhを搭載し、価格:788万円である。

 2022年4月には、2030年までに乗用車1台あたりのCO2排出量を2020年比で半分以下とする新目標を公表した。既に、2039年にガソリン車の販売終了などでCO2排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル計画を掲げており、今回の発表で具体的なロードマップを示した。

 これまでに乗用車で6車種のBEVを発売しており、2025年には販売する新車の半分をBEVかPHEVとし、2030年には全てBEVにする計画である。蓄電池も現用リチウムイオン電池のエネルギー密度を2倍に高めたリン酸鉄リチウム(LFP)電池の採用や、2028年までの全固体電池の量産化を目指す。

 EV関連の投資は2030年までに400億ユーロ(5兆4400億円)に上る。工場の屋根に太陽光発電パネルを設置するほか、風力発電設備の建設も計画しており、現在は5割前後の再生可能エネルギー利用率を、2030年までに7割に高める。

 また、工場利用だけでなく、欧州全域に約30万カ所あるEV充電設備でも再生可能エネルギー由来の電気を使えるようにし、ライフサイクル全体でのCO2排出削減を狙う。

ステランティス

 2022年6月には、フランスのグループPSAとイタリアのフィアット・クライスラー・オートモービルズが折半出資で誕生したステランティスが、小型BEV「フィアット500e」の日本での販売を発表している。蓄電池容量:42kWhで、航続距離:最大335km、価格:450~495万円である。

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