2010年代のFCEVとBEVの開発競争(Ⅲ)

自動車

FCEVからBEVへの転換期

 本田技研工業は、2018年7月にはPHEV車である「CLARITY PHV」を発売し、販売の中心をFCEVからPHEVへと軸足を移した

 2019年7月には、FCEVの次期モデルについて、2020年を目指していた市場投入を2~3年延期すると発表した。これは水素ステーションの整備が不十分なことなどから、FCEVの2020年時点での本格普及は難しいと判断したためである。
 2021年4月、温室効果ガスの排出削減に向け、世界で販売する自動車のすべてを2040年までにBEVかFCEVにする目標を発表している。HEVは販売しない方針である。
 2021年6月、FCEVの生産を年内で中止することを表明している。ただし、BEVに注力しながらも、米国GMとも協力してFCEVの開発は継続し、新車種投入も検討するとしている。

 韓国の現代自動車は、2018年3月に新型FCEV「NEXO(ネクソ)」を発売し、FCEVを電動車の柱の一つとして欧米とオーストラリアでの発売、続いて中国販売を検討すると発表した。

 現行モデルと同じ多目的スポーツ車(SUV)で、最高出力:95kWのFCスタック、高圧水素タンク(70MPa、52.2L×3本)、リチウムイオン電池搭載し、航続距離:約820kmを達成し、価格を776.83万円(税込み)とした。ドイツ・アウディとは、FCEV開発で特許と主要部品の共有で提携した。
2021年9月、今後発売する商用車をすべてBEVとFCEVにすると発表したが、3か月後の同年12月には市場が期待できないとのことで、FCEV開発を中断している。

 日産自動車・ルノーの企業連合は、世界的なEVシフトの流れを受け、2018年6月にダイムラーやフォード・モーターと共同開発するFCEV商用化の凍結を表明している。

一方、FCEVを次世代車の開発の軸に据えていたトヨタ自動車は、2016年12月にEV事業企画室を設置して本格的なBEV開発に着手することを公表した。その後、トヨタ自動車は国内外の企業との提携を積極的に進め、次世代車に向けた全方位戦略を強調するようになる。

 2021年12月の「バッテリーEV戦略に関する説明会」では、BEVのフルラインナップの紹介と共に投資強化の説明が行われた。2022~2030年までの9年間でBEV関連に4兆円の投資を行い、HEVとFCEVの4兆円と合わせて計8兆円規模の投資を行う。併せて、電池関連の新規投資も2兆円に増額する。
 また、トヨタ自動車は、2022年6月に水素をエンジンで燃焼させて走る「水素エンジン車」を市販する方針を発表した。2021年から耐久レースに参戦して技術実証を続けており、FCEV用の水素タンクを用いているが、ガソリン車よりも走行距離が短いため液体水素燃料を検討している。販売時期は未定。

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